「スマホが1円です」は本当にお得? 端末代は通信料に乗っています
営業トーク
「今なら機種変更で、この端末が1円です。すごくお得ですよ」
結論
端末が1円になるのは、その分を通信料で回収する前提があるからです。判断するのは端末代ではなく「端末代+通信料×利用月数」の総額です。多くの人にとっては、端末を一括で買って格安SIMを使うほうが総額は安くなります。
「今なら機種変更で、この端末が1円です」
10万円する機種が1円。たしかに、そう言われると得に聞こえます。
でも、少し考えてみてください。
CHECK
なぜ、10万円のものを1円で渡せるのでしょうか。
先に結論
この記事の結論
なぜ1円にできるか
端末で値引いた分を、通信料で回収する前提があるからです
だから見るのは
端末代ではなく「端末代 + 通信料 × 利用月数」の総額です
多くの人の答え
端末を一括で買って、格安SIMを使う。総額で見ると、たいていこちらが安くなります
総務省が「1円販売」を問題にしています
まず、これは個別のお店の話ではありません。制度として問題視されてきた売り方です。
携帯電話には、通信料金と端末代金を分けるルールがあります。電気通信事業法第27条の3で、①通信料金と端末代金の完全分離、②行き過ぎた囲い込みの禁止が定められています。
そのうえで総務省は、2023年(令和5年)にこう書いています。
現行の割引上限2万円規制について、導入後の一定期間は、規制の導入効果が現れていたが、「白ロム割」が始まったことにより、再び「1円販売」等の大幅な端末値引きが行われるようになった (総務省「電気通信事業法施行規則等の一部改正」)
そこで規制が見直されました。
| 改正前 | 改正後(2023年12月〜) | |
|---|---|---|
| 「白ロム割」 | 非規制 | 規制対象に |
| 割引の上限 | 一律2万円 | 原則4万円(4万〜8万円の端末は価格の50%、4万円以下は2万円) |
実際は
「1円販売」は、規制を強化する理由として名指しされた売り方です。 「お得なキャンペーン」というより、制度側が問題だと考えてきた形だということです。
なぜ1円で渡せるのか
理由はシンプルです。端末で損をしても、通信料で取り返せるからです。
図解① お金の流れはこうなっています
お店から見ると
端末を1円で渡す=その場では損
でも
あなたが毎月の通信料を払い続けることで回収できる
だから
端末が安いプランほど、通信料は高めに設定されます
端末代がゼロに近づいた分は、どこかから出ています。出どころは、あなたが毎月払う通信料です。
タダで配っているわけではありません。 支払う場所が、端末代から通信料に移っただけです。
これは「無料」「実質0円」の考え方とまったく同じ構造です。
だから、総額で計算します
このブログのいつものやり方です。月額ではなく総額。
計算式はこれだけです。
たとえば、2年(24か月)使う前提で比べてみます。金額は例なので、必ず自分の契約で計算してください。
| 端末代 | 月額 | 2年の総額 | |
|---|---|---|---|
| 1円スマホ+大手プラン | 1円 | 7,000円 | 約16.8万円 |
| 端末を一括購入+格安SIM | 60,000円 | 2,000円 | 約10.8万円 |
同じ2年でも、6万円の差がつきます。端末代だけを見ていると、この差は見えません。
CHECK
端末が1円かどうかではなく、2年・3年でいくら払うか。 ここを比べれば、答えは自分で出せます。
格安SIMとは何か
「格安SIM」という言葉は聞くけれど、よく分からないという方向けに整理しておきます。総務省の説明です。
格安スマホ/格安SIMは、通信設備を持つ会社から、ネットワークを借りて携帯電話サービスを提供しているMVNO(Mobile Virtual Network Operator)と呼ばれる事業者のサービス
NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルのように自社でネットワーク整備をする携帯会社は、MNO (総務省「携帯電話ポータルサイト」)
大手の回線を借りて売っているので、電波そのものは大手のものです。自前で基地局を建てる必要がないぶん、安く提供できます。
ただし、注意点も同じページに書かれています。
店舗が少なくオンライン対応が主となります
ネットワークの一部を借りているため、お昼休みや通勤時間帯、夜間等、通信が混み合う時間ではデータ通信速度が低下する場合もあります
ここに注意
万人向けではありません。 店頭で相談したい方、昼休みに動画をたくさん見る方は、この2点を確認してから決めてください。
契約前に確認する5つのこと
「1円」と言われたら、この5つを聞いてください。
図解② 「1円です」と言われたら
質問 1
端末代と通信料を足すと、2年でいくらになりますか?
質問 2
その料金は、割引が終わったあといくらになりますか?
質問 3
何か月使うことが条件になっていますか?
質問 4
途中でやめると、いくら請求されますか?
質問 5
その端末は、返却する契約になっていませんか?
質問5は特に大事です。「実質1円」というプランには、一定期間後に端末を返す前提のものがあります。返却時に傷や故障があると追加費用がかかる場合もあります。
質問5について補足します。安い端末プログラムには、「◯年後に端末を返す」ことが条件のものがあります。 その場合、端末は自分のものになりません。返すときの状態によっては、追加でお金がかかることもあります。
「1円で手に入る」と「1円で借りられる」は違います。 契約書のどちらなのかを確認してください。
多くの人にとっての答え
整理すると、こうなります。
実際は
端末を一括で買って、格安SIMを使う。 総額で計算すると、多くの人にとってはこれがいちばん安くなります。
端末を自分で買えば、
- 通信会社を自由に変えられます(縛りがない)
- 端末は自分のもの(返す必要がない)
- 通信料が安いぶん、使う期間が長いほど差が開きます
一括で買うのが負担なら、中古端末や型落ちモデルという選択肢もあります。最新機種でなければ困る、という人は実はそう多くありません。
もちろん、大手キャリアには店頭サポートや通信品質という価値があります。それに月々いくら払う価値があるか——判断するのはそこです。
まとめ
「スマホが1円です」
タダではありません。 支払う場所が、端末代から通信料に移っただけです。
- 総務省は「1円販売」を問題視し、2023年12月に割引の上限規制を強化しました
- 判断するのは端末代ではなく、端末代 + 通信料 × 月数
- 「実質1円」には、端末を返す前提のものもあります
- 多くの人にとっての答えは、端末を一括で買って格安SIM
言われたら、こう聞いてみてください。
「端末代と通信料を足すと、2年でいくらになりますか?」
この一言で、話は総額に戻ります。
📋 契約前にここを確認
- 端末代と通信料を足した総額は、何年でいくらになりますか?
- その料金プランは、割引が終わったあといくらになりますか?
- 何か月使うことが条件になっていますか?
- 途中でやめると、いくら請求されますか?
- 端末を返却する契約になっていませんか?