🧭 営業の基本

営業されたら確認する10項目|契約前にこれだけは聞いておく

🗣️営業トーク

今だけのキャンペーンなので、今日決めていただければこの価格でいけます

結論

「今日中に決めてください」と言われた時点で、いったん持ち帰って大丈夫です。良い条件なら、明日でもたいてい残っています。そして訪問販売・電話勧誘で契約してしまった場合も、法定の書面を受け取った日から8日以内なら、特定商取引法のクーリング・オフで無条件に撤回できます。違約金を請求されることもありません。

「今だけ」「みなさん入っています」「今日決めていただければ」。

営業トークにはパターンがあります。商品が保険でも、光回線でも、外壁塗装でも、確認すべきことはだいたい同じです。

この記事では、何を営業されても使える10項目をまとめました。スマホでこのページを開いたまま、営業担当者に聞いてみてください。

そもそも、その場で決めなくていい

まずここからです。

🗣️営業トーク

今だけのキャンペーンなので、今日決めていただければこの価格でいけます

🔍CHECK

明日になると、本当にその条件はなくなるのか?

💰実際は

たいていの場合、翌週も同じキャンペーンをやっています。

本当に良い条件なら、持ち帰って比較しても残っています。「今日だけ」を強調されるほど、いったん止まる理由になります。

これは営業担当者が悪い、という話ではありません。期限を切るのは営業の基本的な手法で、会社から指示されていることも多いからです。ただ、急かされている状態で判断する必要は、こちらにはありません。

「屋根が傷んでいます」「このままだと危険です」と緊急性を強調されたときも同じです。今すぐやらないと具体的に何が起きるのか、それは何年以内の話なのか。 もう1社に見てもらう時間は、たいていあります。

確認する10項目

1. どこの会社の、何という契約ですか?

意外に思われるかもしれませんが、ここが最初です。

国民生活センターに寄せられている光回線の相談で、いちばん多いパターンがこれです。

「契約中の事業者の手続だと思ったら、別の事業者との契約になっていた」 (国民生活センター(2026年7月1日公表)

同センターのアドバイスも、1番目がこれです。

突然電話がかかってきた際は、必ず事業者名とサービス名を確認しましょう

いま契約している会社からの連絡だと思い込んでいる——ここを突かれます。社名とサービス名を、その場でメモしてください。

2. 総額はいくらですか?

営業トークは「月額」で語られます。月3,000円と言われると安く感じます。でも、

180,000円(月3,000円 × 60か月)

5年契約なら、これが実際に払う金額です。工事費・事務手数料・登録料といった初期費用も、ここに足します。

月額 × 契約月数 + 初期費用

月額ではなく総額で聞き直す。 これだけで判断がかなり変わります(例:「スマホが1円です」は本当にお得?)。

3. 契約期間は何年で、途中でやめるといくらかかりますか?

ここを聞かずに契約しないでください。

  • 違約金・解約金はいくらか
  • 工事費の残り(残債)を一括で払う必要があるか
  • 「実質無料」だった分が請求されるか

引っ越し・家族構成の変化・収入の変化。5年あれば状況は変わります。

そして解約を申し出たときには、たいてい引き止められます。その言葉の読み方は「今解約すると損しますよ」は本当?にまとめました。

4. 割引が終わったあと、月々いくらになりますか?

キャンペーン価格は、たいてい期間限定です。2年後・3年後にいくらになるのかを、先に聞いておきます。

総額(項目2)を計算するときは、この「割引が終わったあとの金額」で残りの期間を計算します。ここを最初の割引価格のまま計算すると、総額を大きく見誤ります。

5. 「無料」「実質0円」の条件は何ですか?

「無料」にはたいてい条件があります。

よくある表現 実際の意味の例
本体無料 毎月のレンタル料や水の定期購入が条件
工事費実質無料 月額から割引。途中解約すると残りを一括請求
キャッシュバック 開通◯か月後に手続きが必要。忘れると受け取れない

「無料」と聞いたら、「どういう条件で無料になりますか?」と聞き返します。

6. オプションは何が付いていて、外せますか?

キャンペーン価格の条件として、オプション加入が必要なケースがあります。国民生活センターは、光回線についてこう書いています。

通信契約のほかに、複数のオプションを契約させている場合や、なかには消費者の認識がないケースもある

確認するのは3つです。

  • 何が付いているのか(一覧を出してもらう
  • 何か月間、外せないのか
  • 外した場合、価格はいくらになるのか

自動では外れません。 自分で解約手続きが必要なことがほとんどです。

7. 他と比べた資料はありますか?

「他社と比べてどうですか?」と聞いても、自社が有利な比較しか出てきません。聞くのは「資料」です。

金融庁は、ある保険商品について「ほとんどの販売会社で、顧客への提案に当たって、当該保険と他の金融商品のリスク・リターンを比較する対応……が十分に行われていないことが認められた」と指摘しています。

出てこない場合、それは比較していないということです。 それ自体が情報になります(「プロが運用するアクティブファンドなら儲かる」は本当?)。

8. 公的な制度でまかなえませんか?

特に保険・医療・住宅の分野では、先に公的制度を確認すると、必要な保障の大きさが変わります。

心配ごと 先に確認する制度
医療費 高額療養費制度(医療保険は必要?
個室になったら 差額ベッド代のルール(差額ベッド代
遺族の生活 遺族年金
働けなくなったとき 傷病手当金・障害年金

「民間で備える必要がある部分はどこか」を先に決めると、無駄が減ります。

📝補足

公的制度の内容は、厚生労働省や日本年金機構など公的機関のサイトで確認できます。営業資料の説明だけで判断しないのがおすすめです。

9. 書面をもらえますか?

見積書・契約条件の書面をもらいます。口頭の説明と書面が違うことがあります。

電話勧誘の場合、書面は2種類あります。

電話勧誘の契約では、「説明書面」と「契約書面」の2つの書面が送付されます (国民生活センター

書面がもらえない場合は、その時点でいったん止めます。

10. 🔴 クーリング・オフはできる取引ですか?

契約してしまったあとにも、まだ手があります。 ここは法律の話なので、少し詳しく書きます。

クーリング・オフの中身

訪問販売電話勧誘販売には、特定商取引法でクーリング・オフが定められています。

申込者等は、書面又は電磁的記録によりその……申込みの撤回又は……解除……を行うことができる。ただし、……書面を受領した日……から起算して八日を経過した場合においては、この限りでない (特定商取引法9条1項(訪問販売)・24条1項(電話勧誘販売)

条文から読み取れることを並べます。

図解 クーリング・オフの4つのポイント

① 期限

法定の書面を受け取った日から起算して8日。契約日からではありません

② 方法

書面または電磁的記録(メール等)。そして「通知を発した時に、その効力を生ずる」——8日目に出せば、届くのが後でも間に合います

③ 費用

「損害賠償又は違約金の支払を請求することができない」。商品の引取り・返還費用も事業者の負担です

④ 理由

理由は要りません。「やっぱりやめます」で成立します

条文には、事業者が嘘を言ったり威迫したりして8日を過ぎさせた場合、改めて書面を受け取った日から8日と定められています。期限を過ぎていても、あきらめる前に相談してください。

💰実際は

②が実務でいちばん効きます。 「発した時に効力を生ずる」なので、8日目に出せば間に合います。 記録が残る形(特定記録郵便やメール)で送ってください。

使えない場合もあります

自分から店に出向いて契約した場合は、訪問販売ではないのでクーリング・オフの対象外です。

通信販売(自分でネットや通販で申し込んだ場合)には、そもそもクーリング・オフの規定がありません。かわりに返品の規定があります。

購入者は、その……商品の引渡し……を受けた日から起算して八日を経過するまでの間は、その売買契約の申込みの撤回……を行うことができる。ただし、当該販売業者が申込みの撤回等についての特約を当該広告に表示していた場合には、この限りでない特定商取引法15条の3

つまり広告に返品の条件が書いてあれば、そちらが優先します。返送費用も購入者負担です。訪問販売とは扱いがまったく違います。

⚠️ここに注意

適用の有無は取引の形で変わります。判断に迷ったら、契約書を持って消費生活センターに相談してください。 消費者ホットライン 188 で、最寄りの窓口につながります。

断り方に困ったら

はっきり断るのが苦手な人ほど、「検討します」を使いにくいと感じるようです。次の言い方は角が立ちません。

  • 「家族と相談してから決めます」
  • 「他社の見積もりも取ってから比べます」
  • 「書面をいただけますか。読んでから連絡します」

その場で結論を出さないというだけで、たいていのトラブルは避けられます。

営業がすべて悪いわけではありません

念のため書いておきます。

営業担当者の説明が正しいこともありますし、自分では気づかなかった選択肢を教えてもらえることもあります。実際、条件によっては勧められた商品がいちばん合理的、というケースもあります。

このブログが言いたいのは「営業は嘘つき」ではなく、

営業トークだけで判断しない。数字と条件を確認してから決める。

ということです。

ジャンル別の入口

具体的な商品ごとの検証は、それぞれの記事にまとめています。

まとめ

営業されたら、この10項目を確認してください。

そして、その場で決めない。

「いくら払って、いくら得するのか」。ここまで計算してから決めれば、あとで後悔することはかなり減ります。

もし契約してしまっても、訪問販売と電話勧誘なら、書面を受け取った日から8日以内は無条件で撤回できます。 違約金もかかりません。まずは消費生活センター(188)に相談してください。

📋 契約前にここを確認

  • どこの会社の、何という契約ですか?
  • 総額はいくらですか?(月額 × 契約月数 + 初期費用)
  • 契約期間は何年で、途中でやめるといくらかかりますか?
  • 割引が終わったあと、月々いくらになりますか?
  • 「無料」「実質0円」の条件は何ですか?
  • オプションは何が付いていて、外せますか?
  • 他と比べた資料はありますか?
  • 公的な制度でまかなえませんか?
  • 書面をもらえますか?
  • クーリング・オフはできる取引ですか?

参照した情報源

  1. 特定商取引法 第9条(訪問販売のクーリング・オフ)/第24条(電話勧誘販売)/第15条の3(通信販売の返品)・e-Gov法令検索
  2. 国民生活センター「光回線サービスの電話勧誘トラブルが増えています!」(事業者名とサービス名の確認・説明書面と契約書面)

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