📈 投資・資産運用

「プロが運用するアクティブファンドなら儲かる」は本当? 10年の成績を見ます

🗣️営業トーク

「機械的に指数を追うだけの商品より、プロのファンドマネージャーが銘柄を選ぶこちらのほうが成績はいいですよ」

結論

短期では勝つアクティブファンドもあります。ただし期間が長くなるほど負ける割合は上がり、S&P DJIの調査では日本籍のグローバル株式・国際株式・新興国株式ファンドは10年・15年でベンチマークを下回った割合が100%でした。理由のひとつはコストです。金融庁の要件でも、アクティブの信託報酬の上限はインデックスの2倍に設定されています。成績は不確実ですが、手数料は確実に引かれます。

投資信託を勧められると、こう言われることがあります。

「機械的に指数を追うだけの商品より、プロのファンドマネージャーが銘柄を選ぶこちらのほうが成績はいいですよ」

もっともらしく聞こえます。プロが選んだほうが良さそうですし、素人が平均でいいのか、という気にもなります。

では、実際の成績を見てみましょう。 これは調べられます。

先に結論

この記事の結論

短期なら

勝つアクティブファンドもあります。2025年の日本の大型株では、過半数がベンチマークを上回りました

▼

でも長期では

10年・15年になると負ける割合が上がります。グローバル株式・国際株式・新興国株式では、10年で100%が下回りました

▼

理由のひとつは

コスト。金融庁の要件でも、アクティブの信託報酬の上限はインデックスの2倍に設定されています

▼

つまり

成績は不確実ですが、手数料は確実に引かれます。この非対称が、長期になるほど効いてきます

そもそもアクティブファンドとは

用語を先に整理します。投資信託は、運用のやり方で大きく2つに分かれます。

やり方 目指すもの
インデックス型 指数(日経平均、S&P500など)と同じ動きになるように持つ 平均についていく
アクティブ型 運用会社が銘柄を選ぶ 平均を上回る

インデックス型の定義はこうです。

インデックス型・・・各種指数に連動する運用成果を目指すもの (資産運用業協会「運用対象での分類」)

アクティブ型は、この「連動する」をやめて、上回ることを狙います。 そのために調査をし、銘柄を選び、人を雇います。

「上回ることを狙う」と「上回る」は違います。 ここが今回のテーマです。

🔴 10年の成績を見ます

アクティブファンドがベンチマーク(目標にしている指数)に勝てたかどうかは、S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスが毎年集計して公表しています。 SPIVA(スピーバ)という調査です。

2025年末版の結果です。数字は「ベンチマークを下回ったファンドの割合」です。

ファンドの種類 2025年(1年) 10年 15年
日本の大型株 49% 80%超 80%超
日本の中小型株 80% 62% 68%
グローバル株式 87% 100% 100%
国際株式 88% 100% 100%
新興国株式 88% 100% 100%
米国株式 89% — —

(S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス「SPIVA日本スコアカード(2025年末版)」2026年3月10日発表)

まず、フェアな話から。 2025年の日本の大型株では、下回ったのは49%。つまり過半数が指数に勝ちました。 これは2017年以降で最も良い結果だと発表されています。

プロが勝てないわけではありません。 短い期間なら勝つファンドはあります。

問題は、そのあとです。

💰実際は

同じ日本の大型株でも、10年・15年では下回った割合が80%を超えます。 そして海外株のカテゴリーでは、10年で100%。1本も上回っていません。

S&P DJIの発表文には、こう書かれています。

2025年12月末までの15年間では、全てのカテゴリーにおいて大多数のアクティブ運用ファンドがベンチマークをアンダーパフォームしました

図解① 期間が長くなるほど、負ける割合が上がる(グローバル株式)

1年
87%が下回った
10年
100%が下回った
15年
100%が下回った

日本で売られているグローバル株式ファンドの数字です。国際株式・新興国株式も10年・15年で100%でした。日本の中小型株のように、長期のほうが成績の良いカテゴリーもあります(10年62%)。

「全世界株」「先進国株」「米国株」——初心者が最初に勧められることの多いジャンルが、まさにこの100%のところです。

なぜ、こうなるのか

理由のひとつは、はっきりしています。コストです。

アクティブファンドは、銘柄を選ぶために人とお金を使います。調査する人、判断する人、その体制。その費用は、私たちが払う信託報酬から出ています。

そして信託報酬は、前の記事で見たとおり、保有している間ずっと日々引かれます。

🔍CHECK

成績は不確実です。 上回る年もあれば、下回る年もあります。 でも手数料は確実です。 成績が悪くても、同じ率で引かれます。

この非対称が、10年・20年と続きます。アクティブファンドは、まずこの手数料の差を取り返してから、はじめて「勝った」ことになります。

🔴 コストの差は、制度にも表れています

ここが今回いちばん強い材料です。

金融庁は、NISAのつみたて投資枠に入れてよい投資信託の条件を告示で決めています。その条件が、インデックスとアクティブで違います。

信託報酬の上限(税抜) 追加の条件
対象指数に連動する(インデックス) 国内 0.5%以下/海外 0.75%以下 なし
対象指数に連動しない(アクティブ等) 国内 1%以下/海外 1.5%以下 純資産額50億円以上・信託開始から5年経過・信託期間の2/3で資金流入超

(金融庁「つみたて投資枠における投資対象②」2025年4月22日)

上限が、ちょうど2倍に設定されています。制度をつくる側が「アクティブのほうが高くなるもの」という前提で線を引いている、ということです。

同じ資料には、こうも書かれています。

金融庁が告示している対象指数に連動する公募投資信託と、それ以外の公募投資信託では、要件が異なる。具体的には、前者には、後者に課されている純資産額・信託期間等の要件がない

つまりアクティブには、信託報酬が2倍まで認められる代わりに、規模と実績のハードルが追加されています。 「継続して投資家に支持・選択されているもの」だけを通す、という考え方です。

⚠️ここに注意

⚠️ この上限は、つみたて投資枠の対象商品にだけかかるものです。 枠の外で売られている投資信託には、この1.5%という上限すらありません。窓口で勧められた商品が枠の外なら、率は自分で確かめる必要があります。

実際の数字はどうか

金融庁が公表している、つみたて投資枠の対象商品の中身です(2026年8月31日時点)。

  • 指定インデックス投信の信託報酬の平均:国内0.27%/海外0.34%(法令上の上限0.5%/0.75%を大きく下回っています)
  • 対象商品367本の内訳:指定インデックス投資信託286本/アクティブ運用投資信託等72本/ETF 9本

(金融庁「つみたて投資枠対象商品の概要について」)

長期の積立に適したものとして金融庁が認めた商品のうち、8割近くがインデックス型という状態です。

なお、これは平均です。実際には年0.1%を下回るインデックスファンドも流通しています(具体的な数字は企業型DCとiDeCoの記事に交付目論見書から挙げました)。アクティブの上限1.5%とは、15倍以上の開きになります。

30年でいくら違うか

手数料だけの差を計算します。運用の中身が同じ(年5%)だったと仮定して、信託報酬だけを変えた場合です。

月3万円を30年(元本1,080万円)。

図解② 信託報酬だけを変えた場合(月3万円・30年・運用は年5%と仮定)

0.34%
約2,362万円
0.75%
約2,195万円
1.5%
約1,923万円

0.34%=指定インデックス投信(海外)の平均、0.75%=インデックスの法令上限、1.5%=アクティブの法令上限。運用成績はまったく同じで、引かれる率だけが違う場合の数学上の計算です。実際の運用はこのように一定には増えません。

438万円(0.34%と1.5%の差)

💰実際は

運用の腕が同じなら、この438万円は最初から負けている分です。 アクティブファンドは、まずここを取り返す必要があります。

公平に書いておきます

この記事は「アクティブファンドはダメだ」という話ではありません。3つ、正直に書きます。

① 勝つファンドは存在します。 2025年の日本の大型株では過半数が指数を上回りました。10年でも、日本の中小型株では38%のファンドが上回っています。

② 問題は「事前に選べるか」です。 過去に勝ったファンドが次の10年も勝つとは限りません。私たちが商品を選ぶのは、成績が出る前です。

③ 見せられる成績は、たいてい短い期間のものです。 3年・5年の好成績は珍しくありません。SPIVAの数字が示しているのは、期間を10年・15年に延ばすと絵が変わるということです。

🔍CHECK

だから聞くべきはこれです。 「このファンドは、過去10年でベンチマークを上回っていますか?」

10年で答えられないなら、その商品はまだ判断材料が足りない、ということになります。

勧められたら、この4つを

図解③ 「プロが運用するほうが成績はいい」と言われたら

質問 1

このファンドの信託報酬は年何%ですか?

▼

質問 2

同じ対象のインデックスファンドは年何%ですか?

▼

質問 3

ベンチマークは何で、過去10年で上回っていますか?

▼

質問 4

いま見せてもらった成績は、何年分ですか?

質問1と2を並べると、「その差を毎年上回り続けられるのか」という話になります。質問3で10年の数字が出てこない場合、それ自体が情報です。

まとめ

「プロが運用するアクティブファンドなら、インデックスより儲かる」

短期なら、そういうこともあります。 ただ、期間が長くなるほど話は変わります。

  • SPIVAの2025年末版では、日本の大型株は10年・15年で80%超が指数を下回りました
  • グローバル株式・国際株式・新興国株式は、10年・15年で100%
  • 理由のひとつはコスト。金融庁の要件でも、アクティブの上限はインデックスの2倍(国内1%/海外1.5%)
  • 成績は不確実、手数料は確実。 同じ運用なら、0.34%と1.5%で30年に約438万円の差
  • ただし勝つファンドはあります。 難しいのは、それを事前に選ぶことです

過去の実績は、この一問で確かめられます。

「このファンドは、過去10年でベンチマークを上回っていますか?」


複利がなぜ「時間」と「コスト」で効くのかは、複利とインデックス投資のきほんにまとめています。

📋 契約前にここを確認

  • そのファンドの信託報酬は年何%ですか?
  • 同じ対象のインデックスファンドは年何%ですか?
  • ベンチマークは何で、過去10年で上回っていますか?
  • 見せられた成績は何年分ですか?
  • そのファンドマネージャーは、10年後もそのファンドにいますか?

参照した情報源

  1. S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス「SPIVA日本スコアカード(2025年末版)」プレスリリース(2026年3月10日)
  2. S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス SPIVA(スコアカード本体)
  3. 金融庁「つみたて投資枠における投資対象②【図表3】公募株式投資信託の要件」(NISA推進会議 説明資料・2025年4月22日)
  4. 金融庁「つみたて投資枠対象商品の概要について」(2026年8月31日時点・信託報酬率の分布と対象商品数)

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