📈 投資・資産運用

「外貨預金なら高金利です」は本当? その通貨の金利です。円に戻すまでが、この商品です

🗣️営業トーク

「円で置いておいても増えません。こちらの通貨なら年5%以上つきますよ。仕組みは定期預金と同じですし、分散にもなります」

結論

高い金利が付くのは、外貨のままの元本に対してです。全国銀行協会は「外貨での元本は保証されますが、円建ての金額は預け入れた時より減ることもあります」と説明しています。円と外貨の交換には為替手数料がかかり、預けるときと引き出すときの往復で効きます。そして外貨預金は預金保険の対象外です。さらに、日本国内に本店がある金融機関でも海外支店は対象外で、外国銀行の在日支店も対象外です。金利の高さは、その通貨と、その通貨を預かる銀行の事情から来ています。金利だけを比べても、何を引き受けているのかは分かりません。

窓口でも、ネット広告でも、比べられるのは金利です。

🗣️営業トーク

円で置いておいても増えません。こちらの通貨なら年5%以上つきますよ。仕組みは定期預金と同じですし、分散にもなります

金利が高いのは本当です。 そこに嘘はありません。

確かめたいのは、その金利が何に対して付くのかと、円に戻すまでに何があるのかです。

この記事の結論

高い金利が付くのは

外貨のままの元本に対してです

▼

円に戻すとき

為替と、往復でかかる為替手数料が別に効きます

▼

そして

預金保険の対象外。海外支店も外国銀行の在日支店も対象外です

▼

だから

金利だけを比べても、何を引き受けているのかは分かりません

🔴 元本は保証されます。ただし外貨で

全国銀行協会の説明が、この商品の性質をそのまま言っています。

運用後円に替える時の為替レートが預け入れた時より円安になっていれば為替差益が生じます。逆に円高になっていれば為替差損が生じ、外貨での元本は保証されますが、円建ての金額は預け入れた時より減ることもあります。

(全国銀行協会「外貨預金の特徴を知る」)

「元本保証」という言葉が出てきますが、保証されているのは外貨での元本です。 円で暮らしている人にとっての元本ではありません。

図解① 何が約束されていて、何が約束されていないか

約束されているもの

外貨での元本と、その通貨での金利。ここは確かです

▼

約束されていないもの

円に戻したときの金額。為替次第で増えも減りもします

▼

つまり

金利の高さは、円での結果を何も示していません

為替手数料は、往復でかかります

ここが、外貨預金に固有のところです。

「円」を「外貨」に交換して預けるのが一般的で、「円」と「外貨」を交換する際には為替手数料がかかることが多いです

(同)

預けるときに1回、円に戻すときにもう1回。 為替が預けたときとまったく同じでも、手数料の往復ぶんだけ円が減ります。

金利と手数料の関係を、数字で見ます。以下は当サイトの計算です。

100万円を、1ドル=150円のときに預け、1年後も1ドル=150円だったとします。為替手数料を片道1円(往復2円)と置きます。

預入時 100万円 ÷ (150円+1円) = 6,622ドル
1年後(年5%) 6,622ドル × 1.05 = 6,953ドル
円に戻す 6,953ドル × (150円−1円) = 1,035,997円
約3.6%(年利5%・為替が動かず・片道1円の手数料を置いた場合の、円での増え方。当サイトの計算)

年5%のはずが、円で見ると約3.6%です。 差の約1.4ポイントが、往復の手数料です。

⚠️ここに注意

⚠️ 為替手数料は通貨と銀行によって違います。 全国銀行協会も「手数料は銀行によって異なりますので、詳しくはお取り引き銀行にご確認ください」としています。 上の1円という数字は当サイトが置いた仮定です。自分が使う銀行の、その通貨の数字で計算し直してください。 ⚠️ 一般に、取引量の少ない通貨ほど手数料は大きくなる傾向があります。「高金利の通貨ほど手数料も大きい」なら、金利差は見た目ほど残りません。

そして、為替が少し円高に動けば、この3.6%は消えます。 当サイトの計算では、1ドル=約144.8円が損益分岐点です。150円から5円ほど円高になるだけで、円での受取額は元本を下回ります。

🔴 預金保険の対象外です

金融庁の「基礎から学べる金融ガイド」の一覧に、はっきり書かれています。

預金保険制度の対象外預金等:外貨預金、譲渡性預金、無記名預金、架空名義の預金、他人名義の預金、金融債(募集債及び保護預り契約が終了したもの)等 → 保護対象外

(金融庁「基礎から学べる金融ガイド」)

銀行が破綻したとき、1,000万円までの保護はありません。 破綻した金融機関の財産の状況に応じて支払われます。

この点は「元本保証で増えます」は本当?でも扱っています。

🔴 どこの銀行かで、さらに変わります

ここが、見落とされやすいところです。預金保険は「どの金融機関か」でも切れます。

預金保険機構の一覧です。

対象となる金融機関 対象とならない金融機関
銀行(日本国内に本店があるもの)
信用金庫/信用組合/労働金庫
信金中央金庫/商工組合中央金庫 など
左記の金融機関の海外支店
外国銀行の在日支店
保険会社、証券会社

(預金保険機構「対象となる金融機関」)

日本の銀行でも、海外支店に預けたぶんは対象外です。 そして外国銀行の在日支店も対象外です。

図解② 「高金利」の出どころを分けて見る

①通貨の事情

その国の政策金利や物価で決まります。日本の金利とは、別の事情で動いています

▼

②銀行の事情

どこの、どんな銀行か。日本の預金保険が及ぶ範囲かどうか

▼

見るのは

金利の数字ではなく、その数字がどこから来ているかです

「年5%」という数字だけでは、①と②のどちらから来ているのか分かりません。 聞くべきことは決まっています。どの通貨か、どこの金融機関のどの店舗かです。

💰実際は

「よく分からない国の、よく分からない通貨」は、分からないまま引き受けることになります。 その通貨がなぜ高金利なのか、その銀行がどういう規制の下にあるのか。 説明できないなら、金利の高さは判断材料になりません。

為替について、当サイトが言えること

為替の先行きを当てる方法を、当サイトは知りません。 予想を書くこともしません。

言えるのはここまでです。

  • 円に戻す時期は、自分では選べないことがあります。 使う予定のあるお金なら、その時期の為替で決まります
  • 金融庁も、金融商品は安全性・収益性・流動性の3つで見たうえで「3つとも◎の金融商品はありません。目的に応じて使い分けましょう」としています(複利とインデックス投資のきほんで引用)
  • 使う時期が決まっているお金は、値動きしないところに置く。 この考え方は学資保険の記事と同じです

「分散になります」と言われたときも、何のための分散かを確かめてください。 円で暮らして円で支払う人にとって、外貨は分散であると同時に、新しい変動を持ち込むことでもあります。

勧められたら、この4つを

① 為替手数料は、往復でいくらですか

片道の数字だけ示されることがあります。往復で聞いてください。

② 何円まで円高になると、元本を下回りますか

手数料込みの損益分岐点です。その場で計算してもらってください。

③ その金利は何年の約束で、満期後はどうなりますか

高い金利が最初の一定期間だけ、ということがあります。

④ どこの金融機関の、どの店舗ですか

日本国内に本店がある金融機関の国内店舗でなければ、預金保険は及びません。

まとめ

  • 「高金利」は本当です。ただし外貨のままの元本に対する金利です
  • 🔴 全国銀行協会「外貨での元本は保証されますが、円建ての金額は預け入れた時より減ることもあります」
  • 為替手数料は往復でかかります。 為替が動かなくても、その分だけ円は減ります
  • 年5%でも、往復2円の手数料を置くと円では約3.6%(当サイトの計算・為替が動かない場合)
  • 🔴 外貨預金は預金保険の対象外です(金融庁)
  • 🔴 海外支店も、外国銀行の在日支店も対象外です(預金保険機構)
  • 「年5%」が通貨の事情から来ているのか、銀行の事情から来ているのかは、数字だけでは分かりません
  • 為替の先行きについて、当サイトは予想しません。 確かめられるのは手数料と保護の範囲です

「高金利」で勧められる商品は「外貨建て保険は高金利だからお得」は本当?でも扱っています。元本保証という言葉の使われ方は「元本保証で増えます」は本当?に、銀行の窓口で勧められるものについては「銀行だから安心して投資できます」は本当?にまとめています。

📋 契約前にここを確認

  • 為替手数料は、預入時と払戻時でそれぞれいくらですか? 往復でいくらですか?
  • 何円まで円高になると、円で受け取る額が元本を下回りますか?
  • その金利は、何年間の約束ですか? 満期後はどうなりますか?
  • 預ける先は、日本国内に本店のある金融機関の国内店舗ですか?
  • その通貨の国では、いま物価はどれくらい上がっていますか?
  • 使う時期が決まっているお金ではありませんか?

参照した情報源

  1. 全国銀行協会「外貨預金の特徴を知る」(為替手数料・為替差損・預金保険の対象外)
  2. 預金保険機構「対象となる金融機関」(海外支店・外国銀行の在日支店は対象外)
  3. 預金保険機構「対象となる金融機関」(制度の解説)
  4. 金融庁「基礎から学べる金融ガイド」(預金保険制度の対象外預金等に外貨預金)

あわせて読みたい

📈 投資・資産運用2026-11-01

「投資の学校で学べば勝てます」は本当? 確かめられるのは、教える人の腕ではなく登録の有無です

報酬を得て銘柄や売買の時期について助言する契約は、金融商品取引法の投資顧問契約にあたり、登録が必要です。一方、投資スクールは特定継続的役務提供の7役務に入っていないため、中途解約権もクーリング・オフも法律上はありません。

📈 投資・資産運用2026-11-01

「担当の私だけが扱える、特別な運用があります」は本当? 会社の商品なら、担当者の口座には振り込みません

長年の担当者から「特別な利回り」の運用を個人的に勧められる。金融庁は2026年の報告書で、一部の生命保険会社で営業社員等による不適切な金銭の取扱いを確認したと書き、生命保険協会は「特別な利回り」「私用口座への振込」「現金での支払指定」に注意を呼びかけています。

📈 投資・資産運用2026-11-01

「詐欺の被害金、取り戻せます」は本当? 取り戻す話で先にお金を払わせる手口に、金融庁と消費者庁が注意しています

詐欺や投資の被害に遭った人に「取り戻せます」と近づき、調査費用や手数料を先に払わせる。金融庁と消費者庁は、これを「二次被害」として注意しています。国の救済制度は振込先の銀行に申請するもので、業者に代行料を払う仕組みではありません。

📈 投資・資産運用2026-11-01

「毎月分配金が受け取れます」は本当? その分配金、自分のお金かもしれません

分配金には税金がかかるものと、かからないものがあります。かからない「特別分配金」は所得ではなく元本の払い戻しだからです。金融庁はつみたて投資枠から毎月分配型を除外しています。相場を大きく上回る利回りをうたう勧誘は、別の危険があります。

← 記事一覧に戻る