「銀行だから安心して投資できます」は本当? 銀行で買うと保護が一つ減ります
営業トーク
「銀行だから安心ですよ。長いお付き合いですし、窓口で相談しながら投資できます」
結論
銀行で買った投資信託は預金保険の対象ではありません。さらに、証券会社に預けた資産にはある投資者保護基金の補償(1人1,000万円まで)も、銀行で買った場合は対象外です。日本投資者保護基金が「銀行などの証券会社以外の金融機関は会員ではありません」と明記しています。分別管理はどちらも義務づけられていますが、保護の層は銀行のほうが一つ少ない形になります。
窓口でこう言われることがあります。
「銀行だから安心ですよ」
「長いお付き合いですし、窓口で相談しながら投資できます」
聞くと落ち着く言葉です。ただ、「安心」の中身は制度で確認できます。
確認すると、少し意外なことが分かります。
先に結論
この記事の結論
預金保険は
投資信託を守りません。保護されるのは預金等だけです
さらに
証券会社にはある投資者保護基金の補償(1人1,000万円)も、銀行で買った場合は対象外です
つまり
保護の層は、銀行で買うほうが一つ少なくなります
確認するのは
看板ではなく「何の制度に守られているか」と「手数料は年何%か」です
🔴 預金保険は、投資信託を守りません
まず、ここは知られています。預金保険機構の一覧を見ます。
| 預金保険の対象となる預金等 | 対象とならないもの |
|---|---|
| 当座預金/普通預金/定期預金/貯蓄預金/定期積金/元本補てん契約のある金銭信託 など | 外貨預金/譲渡性預金/無記名預金 など |
そもそも一覧に載っているのは「預金等」だけです。投資信託は預金ではないので、この枠の外にあります。
補足
外貨預金も対象外です。「銀行にある」ことと「預金保険で守られる」ことは、別という点は共通しています。
ここまでは、多くの人が知っている話かもしれません。本題は次です。
🔴 証券会社にある保護が、銀行にはありません
証券会社には投資者保護基金という制度があります。
投資者保護基金は、会員である証券会社が破綻した際に、万が一お客さまが返還を受けられなかった金銭や有価証券があれば、その被害額に対し一定の限度内(補償限度額はお一人当たり1,000万円までです。)で補償を行います (日本投資者保護基金)
そして、同じQ&Aにこう書かれています。
銀行などの証券会社以外の金融機関は、日本投資者保護基金の会員ではありません。 そのため、銀行などでご購入された投資信託は日本投資者保護基金の補償対象にはなりません。(なお、銀行などでご購入した場合でも分別管理は義務付けられています。)
実際は
「銀行だから安心」と言われますが、制度で見ると保護は一つ少なくなります。 同じ投資信託でも、どこで買ったかで補償の有無が変わります。
なぜ、そうなるのか
法律上の立場が違うからです。
図解① 法律上の位置づけが違う
証券会社
金融商品取引業者。「いずれか一の基金にその会員として加入しなければならない」(金商法79条の27)
銀行
登録金融機関(金商法33条の2)。金融商品取引業者ではないので、加入義務の対象外
結果
銀行で買った投資信託は、投資者保護基金の外側に置かれます
条文はこうなっています。
金融商品取引業者(政令で定める金融商品取引業者を除く。)は、いずれか一の基金にその会員として加入しなければならない (金融商品取引法79条の27)
過度に怖がる必要もありません
公平に書いておきます。銀行で買うと危ない、という話ではありません。
図解② 何が守り、何が守らないか
分別管理
銀行でも義務づけられています。あなたの資産は、銀行自身の資産と分けて管理されます
投資者保護基金が働くのは
分別管理が不十分だった場合など、資産が返ってこなかったときに限られます
どちらでも補償されないもの
値下がりによる損失。これは制度の対象外です(証券会社で買っても同じ)
投資者保護基金についても、こう明記されています。
相場の値下がりによる損失や、発行体の破綻による元利金の不払いなどのほか……分別管理制度とは関係のない損害や損失などの被害は、投資者保護基金が補償するものではありません
ここに注意
「安心」という言葉が、値下がりしないという意味なら、それはどこで買っても違います。 制度が守るのは「預けた資産が返ってくること」であって、「損をしないこと」ではありません。
🔴 では、何で選ぶのか
制度上の保護に差があるなら、判断の材料は残り二つです。手数料と商品の選択肢です。
投資信託で最終的に効いてくるのは、毎年かかり続けるコストです。
図解③ 見るところ
① 信託報酬
残高に対して毎年かかります。同じ指数に連動する商品でも率は商品ごとに違い、年0.1%を下回るものもあります
② 購入時手数料
買った瞬間に引かれます。かからない商品もあります
③ 選択肢の数
つみたて投資枠の対象は全体で372本。ただしどこで買えるかは金融機関ごとに違います
対象商品数は金融庁「つみたて投資枠対象商品の概要について」(2026年10月8日時点)。対象商品の信託報酬率の平均は、投資先が国内のインデックス投信で0.27%、内外・海外で0.34%です(法令上の上限は0.5%・0.75%)。取扱本数は金融機関ごとに大きく差があるので、口座を開く前に一覧を確認してください。年0.1%を下回る例は、企業型DCとiDeCoの記事に交付目論見書から挙げています。
同じ指数に連動する商品なら、運用の中身はほとんど変わりません。 変わるのは手数料です。年1%の差が30年で何百万円になるかは、信託報酬の記事にまとめています。
CHECK
窓口で聞くなら、この一問です。 「この商品の信託報酬は年何%ですか? 同じ指数で、もっと安いものはありますか?」
「相談できる」ことについて
窓口で相談できることに価値を感じる人はいます。 それ自体は否定しません。
ただ、確認しておきたいことがあります。
図解④ 相談相手の立場
窓口の担当者は
その金融機関が扱う商品の中から提案します。扱っていない商品は出てきません
だから
「いちばん安い商品」ではなく「その中でのおすすめ」が出てくることになります
確認できるのは
「同じ指数の商品で、もっと手数料の安いものはありますか」と聞いてみることです
これは銀行に限りません。 対面の窓口を持つ金融機関には、共通する構造です。
まとめ
「銀行だから安心して投資できます」
- 預金保険は投資信託を守りません。 保護されるのは預金等です
- さらに、証券会社にある投資者保護基金の補償(1人1,000万円)も対象外です
- 日本投資者保護基金が「銀行などの証券会社以外の金融機関は会員ではありません」と明記しています
- 法律上、証券会社は金融商品取引業者で加入義務があり、銀行は登録金融機関なので対象外です
- ただし分別管理はどちらも義務です。過度に怖がる話ではありません
- 値下がりの損失は、どこで買っても補償されません
- 制度の差より効いてくるのは手数料と商品の選択肢です
「安心」と言われたら、その中身を聞いてください。
「何の制度に守られていますか? この商品の信託報酬は年何%ですか?」
看板ではなく、この2つで比べられます。
手数料が長期でどう効くかは信託報酬の差は30年でいくらか、預金保険で守られる範囲は「元本保証で増えます」は本当?、おまかせ型のサービスの料金は「ロボアドなら投資を全部おまかせできます」は本当?にまとめています。
📋 契約前にここを確認
- その商品は預金ですか、投資信託ですか?
- 預金保険の対象ですか?(投資信託は対象外です)
- 投資者保護基金の補償対象ですか?(銀行は会員ではありません)
- その商品の信託報酬は年何%ですか?
- 同じ指数のファンドを、他ではいくらで買えますか?