「ロボアドなら投資を全部おまかせできます」は本当? おまかせできます。ただし料金があります
営業トーク
「ロボアドなら、銘柄選びも売買のタイミングも全部おまかせできますよ」
結論
おまかせできるのは本当です。金融商品取引法の投資一任契約にあたり、投資判断を任せる仕組みが法律で定められています。ただし料金は一任報酬として上乗せされ、運用先である投資信託やETFの信託報酬と二重にかかります。年1%と年0.05775%では17倍。毎月3万円を30年間、年5%と仮定して計算すると約385万円の差になります。中身が同じ指数なら、その差はサービス料です。
こう勧められることがあります。
「ロボアドなら、銘柄選びも売買のタイミングも全部おまかせできますよ」
これは本当です。 誇張でも何でもありません。
確認したいのは、その次です。おまかせの料金がいくらか。
先に結論
この記事の結論
おまかせできる
事実です。法律上も「投資判断の全部又は一部を一任される」契約として定められています
ただし
一任報酬がかかります。しかも運用先の信託報酬と二重になります
差は
年1%と年0.05775%で17倍。毎月3万円を30年なら約385万円
確認するのは
「何の指数に連動していますか?」中身が同じなら、差額はサービス料です
おまかせできるのは、本当です
まず、ここは認めておきます。うたい文句どおりです。
法律にも位置づけがあります。
当事者の一方が、相手方から、金融商品の価値等の分析に基づく投資判断の全部又は一部を一任されるとともに、当該投資判断に基づき当該相手方のため投資を行うのに必要な権限を委任されることを内容とする契約(以下「投資一任契約」という。) (金融商品取引法2条8項12号ロ)
「投資判断の全部又は一部を一任される」。 条文にそう書いてあります。
そして、これを行うには投資運用業の登録が必要です(金融庁)。きちんと規制された仕組みであって、怪しいものではありません。
補足
この記事は「ロボアドは危ない」という話ではありません。 サービスとして成立しているうえで、その料金が見合っているかどうかの話です。
🔴 料金は二重になります
ここが構造の話です。
図解① 何にお金を払っているか
① 一任報酬
「おまかせ」の料金。資産残高に対して毎年かかります
② 信託報酬
実際に買っている投資信託やETFの運用管理費用。①とは別にかかります
合計
これが実際に毎年引かれる率です。①だけを見ると、実際の負担より小さく見えます
CHECK
だから聞くのは、この形になります。 「一任報酬は年何%で、その中で買う商品の信託報酬は別にいくらですか?」
🔴 中身は、自分でも買えるものです
ロボアドが買っているのは、多くの場合広く分散されたインデックスです。全世界株式や米国株式(S&P500)など、個人が普通に買える商品と同じ種類のものです。
そして、その手数料はこうなっています。
運用管理費用(信託報酬)の総額は、以下の通りです。 日々の純資産総額に対して、年率0.05775%(税抜年率0.0525%)以内をかけた額 ……総経費率(①+②)0.07% (eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)交付目論見書・2026年7月25日付)
購入時手数料も信託財産留保額も「ありません」と同じ目論見書に記載されています。
実際は
同じような指数に連動しているなら、運用の中身はほとんど変わりません。 違うのは、その間に入るサービスと、その料金です。
30年で、いくら違うか
毎月3万円を30年間、信託報酬控除前の年リターンを5%と仮定して計算します。
図解② 毎月3万円 × 30年(元本1,080万円)/年5%と仮定
年0.05775%
年1.0%
年1.1%(二重)
前提と計算方法は下に書きます。1.1%は、一任報酬1.0%に運用先の信託報酬0.1%が乗る場合の例です。
元本1,080万円に対して、385万円です。二重にかかる場合(1.1%)なら約422万円になります。
そして、別の見方をするとこうなります。
| 年間の手数料 | 年5%のリターンのうち手数料が取る割合 |
|---|---|
| 0.05775% | 1.2% |
| 1.0% | 20% |
年1%は、リターンの2割です。これは信託報酬の記事で見たのと同じ構造で、残高に対してかかるので後半ほど金額が大きくなります。
ここに注意
年5%は予測ではなく、計算のための仮定です。 含めていないもの:税金、為替、その他費用。この記事が示しているのはリターンの予想ではなく、手数料の差がどう効くかです。
🔴 では、何にお金を払っているのか
公平に見ます。一任報酬で買っているものは、確かにあります。
図解③ おまかせで受け取れるもの
配分を決めてくれる
株式と債券の割合などを、質問への回答から自動で決めます
自動で買い付ける
毎月の積立と発注を自動でやってくれます
リバランス
値動きで崩れた配分を、自動で元に戻します
問い
これらに、年1%を払う価値があるか。それが判断する内容です
自分でやる場合、どれも難しい作業ではありません。 全世界株式のインデックスファンドを1本、毎月同じ額で積み立てる設定にすれば、配分の判断もリバランスも発生しません。
ただし、「難しくない」と「実際にやる」は別です。放っておいても続く仕組みに価値を感じるなら、それは本人の判断です。
🔴 ただし、順番が逆になっている場合があります
もう一つ、書いておきたいことがあります。
「投資のことが分からないから、おまかせしたい」という動機で始める場合です。
実際は
分からないまま任せるのは、金額の判断もできないということです。 一任報酬が年1%なのか2%なのか、それが高いのか安いのか——その判断ができない状態で契約することになります。
投資は、値下がりすることがあります。おまかせでも同じです。下がったときに「これは想定の範囲か」を自分で判断できないと、いちばん下がったところでやめてしまうことになりかねません。
図解④ 順番
よくある順番
分からない → だから任せる
本来の順番
分からない → まず分かるところまで待つ(少額で試す、制度を調べる)
なぜなら
分からない状態では、任せる相手の料金が妥当かどうかも判断できないからです
急ぐ必要はありません。 分からないうちに始めないことも、選択肢のひとつです。
公平に書いておきます
- ロボアドは規制を受けた正規のサービスです。登録を受けた業者が、法律に基づいて運用しています
- 手数料は下がってきています。 商品によって水準が違うので、実際の数字で確認してください
- 続けられることに価値があるのは事実です。自分でやって途中でやめるより、任せて続くほうが結果が良いこともあります
- 税金の最適化など、独自の機能を持つサービスもあります
補足
この記事は特定のサービスをすすめたり、やめさせたりするものではありません。 料金の構造と、比較のしかたを示しています。
まとめ
「ロボアドなら全部おまかせできますよ」
- おまかせできるのは本当です。 法律上も「投資判断の全部又は一部を一任される」契約と定められています
- ただし一任報酬がかかり、運用先の信託報酬と二重になります
- 中身は多くの場合、自分でも買える広く分散されたインデックスです
- 年1.0%と年0.05775%では17倍
- 毎月3万円を30年、年5%と仮定すると約385万円の差(二重なら約422万円)
- 年1%は、年5%のリターンのうち20%にあたります
- 分からないから任せる、という順番には注意が要ります。 料金が妥当かどうかも判断できないからです
契約する前に、この2つを並べてください。
「一任報酬+信託報酬で合計年何%か」と「同じ指数のインデックスファンドは年何%か」。
差額が、おまかせの料金です。それに見合うかどうかは、自分で決められます。
手数料が長期でどう効くかは信託報酬の差は30年でいくらか、指数に連動する商品の考え方は複利とインデックス投資のきほん、プロに任せる商品の成績は「プロが運用するアクティブファンドなら儲かる」は本当?にまとめています。
📋 契約前にここを確認
- 一任報酬は年何%ですか?
- その中で買う商品の信託報酬は、別にかかりますか?
- 合計で年何%になりますか?
- 何の指数に連動していますか?
- 同じ指数のインデックスファンドは年何%ですか?