🧭 営業の基本

「ホワイト案件です。即日即金、高収入」は本当? 警察庁は、その言葉を犯罪実行者募集の特徴に挙げています

🗣️営業トーク

「ホワイト案件です。荷物を受け取って運ぶだけで、即日即金、日給5万円。まずは身分証の写真を送ってください。やりとりはこのアプリでお願いします」

結論

警察庁は、犯罪の実行役を集める募集には2つの大きな特徴があるとしています。SNSで「高額」「即日即金」「ホワイト案件」など、楽で簡単で高収入であることを強調すること。そして、匿名性の高いアプリに誘導して個人情報を送らせ、脅迫することです。警察庁によると、犯罪グループは約束の報酬を元から払うつもりがなく、応募者は「使い捨て」で、断ったり抜けようとしたりすると、送った個人情報をもとに脅してきます。令和7年に特殊詐欺で検挙された受け子は1,379人で、そのうち25.6%が少年でした。受け子などになったきっかけは、SNSからの応募と知人等の紹介がそれぞれ約4割です。詐欺は10年以下の拘禁刑、口座を売ることも犯罪です。知らなかったという言い訳は通用しないと警察庁は書いています。応募してしまったら、すぐに警察(#9110・最寄りの警察署)へ。警察は、相談した本人と家族を保護するとしています。

SNSで「即日バイト」「高額バイト」と検索すると、こんな投稿が出てきます。

「ホワイト案件です」

「荷物を受け取って運ぶだけで、即日即金、日給5万円」

連絡すると、こう言われます。

「まずは身分証の写真を送ってください。やりとりはこのアプリでお願いします」

今月の家賃が足りない。短期間でまとまったお金がほしい。そういうときほど、この言葉は魅力的に見えます。 この記事では、この募集を警察庁がどう見ているかを整理します。

先に結論

この記事の結論

この言葉は

警察庁が挙げる「犯罪実行者募集」の特徴そのものです

▼

応募すると

身分証などの個人情報を握られ、断れば脅されます

▼

報酬は

警察庁によると、元から払うつもりがない。応募者は「使い捨て」です

▼

応募してしまったら

すぐに警察(#9110)へ。警察は本人と家族を保護するとしています

🔴 警察庁が挙げる、2つの特徴

警察庁は、求人を探している人に向けて、こう書いています。

犯罪実行者の募集は、通常のアルバイト募集のように見えても、2つの大きな特徴があります。それは、 ➢ X等のSNSで「高額」「即日即金」「ホワイト案件」等、「楽で、簡単、高収入」を強調する ➢ シグナルやテレグラムといった匿名性の高いアプリに誘導して個人情報を送信させ、脅迫する というものです。 (警察庁「犯罪実行者募集情報の特徴」・令和6年10月25日)

同じ資料には、実際に検挙された人が応募した募集の例が並んでいます。

「案件」と検索したところ、「ホワイトな高額案件あります」との募集投稿を見つけた ……「即日即金」と検索したところ、「即金5万円」「運びの仕事」といった募集投稿を見つけ応募した ……「要 普通免許、簡単な運びの仕事、ホワイトな仕事、高収入」等の広告を見て登録した (同)

図解① 警察庁が挙げる募集の特徴(「犯罪実行者募集情報の特徴」をもとに作成)

報酬

「高収入」「日給5万円から」など、高額を強調

▼

支払い

「即日払い」「即日即金」「お金配りますよ」

▼

仕事内容

「運びの仕事」「送迎」「書類運搬」など、簡単を強調

▼

性質

「ホワイト」など、違法ではないことを強調

▼

そして

匿名性の高いアプリに移し、個人情報を送らせる

「ホワイト」と書いてあることは、安全の証拠になりません。 警察庁は、それを特徴の1つとして挙げています。

🔴 応募すると、抜けられなくなります

警察庁は、応募した人に向けて、こう書いています。

いわゆる「闇バイト」は、アルバイトではなく、紛れもない犯罪行為です。 犯罪者グループは、約束の報酬を元から支払うつもりはなく、応募者は「使い捨て」要員です。 最初は簡単な案件を紹介されて報酬が支払われたとしても、それは「あなた」を信用させるための「餌」です。その後、凶悪な犯罪に加担するよう求めてきます。要求を断ったり、離脱しようとしたりすると、入手した個人情報を基に執拗に脅迫し、恐怖心を植え付けて離脱を阻止し、「あなた」が警察に逮捕されるまで利用し続けます。 (警察庁「犯罪実行者募集情報に応募している人へ」・令和6年11月14日)

同じ資料には、実際の相談事例が載っています。氏名・住所・生年月日・電話番号・免許証の写真を送ったあと、仕事を断ってアプリを消したら、別のアプリで「お前、逃がさないからな。」というメッセージと、自分の個人情報がすべて送られてきた、という事例です。

図解② 抜けられなくなる順番(警察庁の説明をもとに作成)

①

「高額」「即日即金」「ホワイト」の募集に連絡する

▼

②

匿名性の高いアプリに移り、身分証・住所・家族の情報を送る

▼

③

最初は簡単な仕事で、報酬が出ることもある(信用させるための「餌」)

▼

④

犯罪(受け子・出し子・強盗など)を指示される

▼

⑤

断ると、個人情報をもとに脅される。逮捕されるまで使われる

②で送った個人情報が、脅しの材料になります。 契約の前に身分証の写真を求められた時点で、立ち止まってください。

数字で見ると

警察庁の統計で、令和7年に特殊詐欺で検挙された人の内訳です。

役割別では、受け子が1,379人(±0人、±0.0%)と最も多く、総検挙人員に占める割合は59.0%(-1.7ポイント)。 ……受け子の検挙人員(1,379人)に占める少年の割合は25.6%(+4.9ポイント)と、受け子のおよそ4人に1人が少年。 (警察庁 令和7年確定値・19〜20頁)

4人に1人令和7年に検挙された受け子のうち、少年の割合(25.6%)

受け子などになったきっかけも載っています。

受け子等になった経緯(令和7年・2,228人) 人数 割合
SNSから応募 845人 37.9%
知人等の紹介 827人 37.1%

(同・20頁)

SNSの募集だけでなく、知り合いの紹介も同じくらい多いのです。「先輩の紹介だから大丈夫」は、理由になりません。

🔴 「知らなかった」は通用しません

警察庁は、犯罪かもしれないと思いながら応募する人にも向けて書いています。

「ホワイト案件」「荷物運び」などといった募集の言葉を理由に、犯罪行為ではないと「あなた」は「あなた」自身に言い訳をしていませんか。知らなかったという言い訳は警察には通用しません。 (警察庁「犯罪実行者募集情報に応募している人へ」)

実行役がする行為には、法律の刑罰があります(現行の条文)。

行為 法律 刑罰
お金をだまし取る(受け子など) 刑法246条(詐欺) 10年以下の拘禁刑
キャッシュカードをすり替えて盗む 刑法235条(窃盗) 10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
強盗で人にけがをさせる 刑法240条(強盗致死傷) 無期または6年以上の拘禁刑(死亡させたら死刑または無期拘禁刑)
自分の口座を売る 犯罪収益移転防止法26条2項 3年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金(または両方)

(刑法・犯罪による収益の移転防止に関する法律)

警察庁も、「口座を売ったり、買ったりすること」「他人に渡すために、携帯電話を契約すること」は犯罪だと書いています(警察庁「いわゆる『闇バイト』の危険性について」)。

📝補足

募集する側も、処罰の対象です。 犯罪の実行役を募集する目的で情報を発信することは、職業安定法第63条で禁止されていて、1年以上10年以下の拘禁刑または20万円以上300万円以下の罰金の対象です。厚生労働省は、SNSでの個人間のやりとりでも、犯罪が実行されていなくても違反になると説明しています(厚生労働省「闇バイトの募集は犯罪です!」・職業安定法 第63条)。

🔴 応募してしまったら

警察庁は、こう書いています。

自分自身や家族への脅迫が理由であっても強盗は凶悪な犯罪です。犯罪に関わってはいけません。勇気を持って抜け出し、すぐに警察に相談してください。警察は相談を受けたあなたやあなたの家族を確実に保護します。 (警察庁「いわゆる『闇バイト』の危険性について」)

図解③ 相談先

応募してしまった・抜けられない

警察相談ダイヤル #9110、最寄りの警察署。都道府県警察の少年相談窓口もあります

▼

お金に困っている

住まい・仕事・家計の地域の相談窓口(一定期間、家賃相当額を支給する仕組みなど)

▼

募集の投稿を見つけた

警察署、またはインターネット・ホットラインセンターに通報

警察庁「いわゆる『闇バイト』の危険性について」をもとに当サイトが作成

脅されているから続ける、は逆です。 脅しは、続けても終わりません。警察庁の説明では、逮捕されるまで使われ続けます。

普通の求人と見分けるには

日払いの求人や、報酬の高い仕事が、それだけで違法というわけではありません。ここは当サイトの見方ですが、警察庁が特徴に挙げているのは、次のことがセットになっている形です。

  • 仕事の内容を明らかにしないまま、高い報酬だけを示す(警察庁は「仕事の内容を明らかにせずに著しく高額な報酬の支払いを示唆する」と書いています)
  • やりとりを匿名性の高いアプリに移す
  • 仕事の前に、身分証や家族の情報を送らせる
  • 「ホワイト」「違法ではない」と、わざわざ強調する

求人を見るときは、会社名・所在地・仕事の中身・誰と雇用契約を結ぶのかが分かるかを確かめてください。分からない仕事に、身分証は送りません。

厚生労働省は令和7年2月、求人サイトなどを運営する事業者の団体に、こうした募集を載せないよう、掲載前の確認を厳しくするよう要請しています。当サイトの見方では、求人サイトに載っていても、それだけで安心とは言えないということです。

こんな時は要注意

  • 「ホワイト案件」「即日即金」「高額」「運ぶだけ」「受け取るだけ」と強調されている
  • 仕事の内容・会社名がはっきりしない
  • 匿名性の高いアプリに移るよう言われた
  • 契約の前に身分証の写真や家族の情報を求められた
  • 口座や携帯電話を貸す・売る・新しく作る話が出た
  • 「海外で稼げる仕事」を、ゲームやネットで知り合った人から紹介された(警察庁が注意している事例です)

まとめ

「ホワイト案件です。即日即金、高収入」

  • 🔴 警察庁は、「高額」「即日即金」「ホワイト案件」の強調と、匿名性の高いアプリで個人情報を送らせることを、犯罪実行者募集の2つの特徴に挙げています
  • 🔴 警察庁によると、報酬は元から払うつもりがなく、応募者は「使い捨て」。断れば個人情報をもとに脅されます
  • 令和7年に検挙された受け子の4人に1人が少年。きっかけはSNSからの応募と知人の紹介が約4割ずつ
  • 詐欺は10年以下の拘禁刑。口座を売ることも犯罪です。「知らなかった」は通用しません
  • 応募してしまったら、すぐに警察(#9110)へ。警察は本人と家族を保護するとしています

自分に聞くのは、この一問です。

「この仕事の中身を、家族に全部話せるか」


「簡単な作業で稼げる」という副業の誘いは「スマホで簡単な作業をするだけで、月30万円稼げます」は本当?、目的を隠した誘いは「勧誘じゃないよ。会わせたい人がいるだけ」は本当?にまとめています。

📋 契約前にここを確認

  • 仕事の内容・会社名・勤務先が、はっきり書かれていますか?
  • 「ホワイト案件」「即日即金」「運ぶだけ」「受け取るだけ」と強調されていませんか?
  • やりとりを、匿名性の高いアプリに移すよう言われていませんか?
  • 契約の前に、身分証の写真や家族の情報を送るよう言われていませんか?
  • 口座や携帯電話を「貸す」「売る」話が出ていませんか?
  • 家族や信頼できる大人に、この仕事の中身を全部話せますか?

参照した情報源

  1. 警察庁「SNSなどで求人情報を探している方へ 犯罪実行者募集情報の特徴」(令和6年10月25日)
  2. 警察庁「犯罪実行者募集情報に応募している人へ」(令和6年11月14日)
  3. 警察庁「いわゆる『闇バイト』の危険性について」
  4. 警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」(令和8年5月22日)19〜20頁
  5. 厚生労働省「闇バイトの募集は犯罪です!」(職業安定法第63条)
  6. e-Gov 刑法 第235条(窃盗)・第240条(強盗致死傷)・第246条(詐欺)
  7. e-Gov 犯罪による収益の移転防止に関する法律 第26条(預貯金通帳等の譲受け等)
  8. e-Gov 職業安定法 第63条

あわせて読みたい

🧭 営業の基本2026-11-01

「勧誘じゃないよ。会わせたい人がいるだけ」は本当? マルチ商法では、目的を隠した誘いそのものが法律違反です

マルチ商法(連鎖販売取引)では、誘う前に会社名・勧誘の目的・商品の種類を告げる義務があります。目的を隠して呼び出し、部屋やカラオケで勧誘すれば刑事罰の対象です。当サイトが確認したマッチングアプリの規約は、いずれもビジネスの勧誘を禁止していました。

🧭 営業の基本2026-11-01

「経費で落とせるから、実質タダです」は本当? 戻ってくるのは、税率の分だけです

個人事業主や副業の人に、パソコンや車、講座を売るときの決まり文句。経費は税金を計算するもとの所得を減らすだけで、減る税金は「支出×税率」です。所得税10%・住民税10%の人なら、30万円の支出で戻るのは約6万円。私用と兼ねる物は、仕事の分しか経費になりません。

🧭 営業の基本2026-10-11

「FPが無料で相談にのります」は本当? 無料で成り立つ仕組みのほうを見ます

相談は無料です。ただしその人の給料は無料ではありません。原資は保険会社から代理店に払われる手数料です。金融庁は監督指針で「手数料水準の高い商品に誘導することのないよう留意する」と書いています。

🧭 営業の基本2026-09-20

「ねずみ講じゃないから、合法です」は本当? 合法かどうかと、あなたがもうかるかは別の話です

ネットワークビジネス(マルチ商法)は、特定商取引法で禁止ではなく規制されている取引です。ねずみ講との法律上の違い、禁止されている勧誘、20日間のクーリング・オフと中途解約、全員はもうからない理由を一次情報で確かめます。

← 記事一覧に戻る