🏠 住宅・リフォーム

「今すぐ外壁塗装が必要です」は本当? 訪問で来た時点で一度止まる

🗣️営業トーク

「近所で工事をしている者ですが、お宅の屋根が傷んでいるのが見えました。外壁も傷んでいるので、今すぐ工事が必要です」

結論

国民生活センターは点検商法の典型的な勧誘トークを公開しており、「外壁も傷んでいて工事が必要だ」は次々販売の代表例として名指しされています。業者が見せる写真や動画があらかじめ用意されたものである場合もあり、「今なら安く」と言われても相場より高額なことがあります。突然の訪問には点検させない、1社の見積もりで決めない、この2つだけで防げます。

インターホンが鳴って、こう言われます。

「近所で工事をしている者ですが、お宅の屋根が傷んでいるのが見えました」

「外壁も傷んでいます。今すぐ工事が必要です」

この言葉、国民生活センターの資料にそのまま載っています。

先に結論

この記事の結論

まず知っておく

国民生活センターが典型的な勧誘トークを一覧で公開しています。「外壁も傷んでいて工事が必要だ」も、その中にあります

▼

見せられる写真は

「あらかじめ業者が用意しておいたものである場合もあります」——同センターの記述です

▼

「今なら安く」も

「実際には相場よりも高額である場合もあります」。同じく同センターの記述です

▼

やることは2つだけ

突然の訪問には点検させない。1社の見積もりで決めない。これで防げます

🔴 勧誘トークは、公開されています

国民生活センターが2023年に出した資料は、タイトル自体がこうです。

屋根工事の点検商法のトラブルが増えています——典型的な勧誘トークを知っておくことで防げます!

そこに挙がっている言葉を、そのまま引きます。

段階 実際の勧誘トーク
①訪問のきっかけ 「近所で行う工事の挨拶に来た」
「屋根瓦がずれているので点検してあげる」
②不安をあおる 「このままだと台風が来たら雨漏りしますよ」
「瓦が飛んで近所の人にも迷惑がかかってしまいます」
「すぐに直さなければ大変なことに…」
「ドローンで見るとこんなに傷んでいます」
③負担が軽いと思わせる 「この場で契約するなら特別に安くしますよ」
「通常より大幅に割り引いた価格です」
「保険金を使って修理すればいいじゃないですか」
「保険申請の手続きもしてあげます」
④次々に契約させる 「外壁も傷んでいて工事が必要だ」
「シロアリがいたので駆除しなければ」

(国民生活センター「屋根工事の点検商法のトラブルが増えています」2023年10月11日)

💰実際は

「外壁も傷んでいて工事が必要だ」は、④次々販売の代表例として名指しされています。 屋根の話から外壁に広げるのは、記録に残っている手口です。

言われた言葉が、この表のどれかに当てはまるなら——それだけで一度止まる理由になります。

🔴 写真と「今なら安く」について

同じ資料に、2つ重要な指摘があります。

業者が見せる写真や動画はあらかじめ業者が用意しておいたものである場合もあります

業者はその場で契約させようと、「今ならお得」感を強調します。……実際には相場よりも高額である場合もあります

屋根は自分では見えません。 だから写真を見せられると信じてしまう。同センターもそう分析しています。

屋根の様子は消費者から認識しづらいため、業者の言葉やスマホやドローンで撮影したという写真や動画を信じてしまいやすくなります

🔍CHECK

その写真が自分の家のものだと、どうやって確認しますか。 自分でも見られる位置から撮った写真を求める、という手はあります。

数字で見る

相談件数は増え続けています。

年度 相談件数 点検商法全体に占める割合
2018年度 923件 16.2%
2019年度 1,157件 20.1%
2020年度 1,824件 26.0%
2021年度 2,352件 31.6%
2022年度 2,885件 35.4%

5年で約3倍です。そして点検商法の相談の3件に1件が屋根工事になっています。

もう一つ、はっきりした特徴があります。

8割超が60歳以上(契約当事者)

親の家に届く話でもあります。

来る時期も決まっています

同センターの分析です。

例年6月と9〜11月に相談が増加していることがわかります。これは梅雨の大雨や台風といった自然災害の後を狙い、点検商法で屋根工事を勧める業者がいることが考えられます

災害のあとに来たら、まず疑ってよいということです。

🔴 「保険金が使える」には気をつけてください

これは金銭的な損だけでは済まない可能性があります。

経年劣化による住宅の損傷は、自然災害などの事故による損害ではないので、保険金支払いの対象とはなりません。 経年劣化による損傷と知りながら、自然災害による損傷と申請するなど、うその理由で保険金を請求すると、保険会社から保険金の返還請求や保険契約の解除をされたり、刑事罰(詐欺罪)に問われるおそれもあります

⚠️ここに注意

🔴 業者が申請を代行しても、請求するのは契約者本人です。 うその申請になれば、責任を負うのは自分です。同センターは「保険金の請求は加入者自身で行うことが基本」「保険会社または代理店に直接尋ねましょう」としています。

契約してしまった場合

まだ手はあります。

① クーリング・オフ(8日以内)

訪問販売なので、特定商取引法9条が使えます。

契約書面を受け取った日から8日以内であればクーリング・オフできます。……速やかにクーリング・オフを書面または電磁的方法(メールなど)により通知しましょう (国民生活センター)

条文上、通知を発した時に効力が生じます。 8日目に出せば間に合います(特定商取引法9条2項)。違約金を請求されることもありません。

② 8日を過ぎても、取り消せる場合があります

ここは知られていないので、条文で確認します。

事実と違うことを告げられて誤認した場合、消費者契約法4条1項1号で取り消せます。

一 重要事項について事実と異なることを告げること。 当該告げられた内容が事実であるとの誤認 (消費者契約法4条1項)

期間も条文にあります。

取消権は、追認をすることができる時から一年間行わないときは、時効によって消滅する。当該消費者契約の締結の時から五年を経過したときも、同様とする (同7条1項)

💰実際は

「気づいた時から1年」「契約から5年」。8日を過ぎたからといって、あきらめる話ではありません。 「壊れていないのに壊れていると言われた」なら、まさにこの類型です。

まずは消費生活センター(188)に相談してください。

やることは2つだけです

図解 防ぎ方は単純です

① 点検させない

同センターの表現:「たとえ無料と言われても安易に点検を依頼しないようにしましょう」。点検させると断りにくくなるからです

▼

② 1社で決めない

「1社からの見積もりだけではなく、複数社から見積もりを取り、比較・検討」。まず家を建てた工務店に相談する、という順番も挙げられています

同センターは「質問に答えず、あいまいな返答のみの業者とは契約しないことが大切です」とも書いています。

この2つを守るだけで、上の勧誘トークはほぼ機能しません。 点検させなければ写真は出てこないし、他社の見積もりがあれば「今なら安く」が本当かどうか分かります。

工事そのものは必要になります

念のため書いておきます。外壁や屋根の手入れが不要だという話ではありません。

家は必ず傷みます。適切な時期に直したほうが安く済むことも多い。問題は工事の要否ではなく、「突然訪問してきた相手に、その場で決めさせられること」です。

判断のしかたも、同センターが書いています。

施工業者は安心できるところか、本当に必要な工事か、不要なオプションがついていないかなどを冷静に見極める必要があります

急がされていない状態で、複数社に見てもらう。それだけの話です。

住宅リフォームの相談窓口もあります。

公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター「住まいるダイヤル」:0570-016-100

まとめ

「今すぐ外壁塗装が必要です」

  • 「外壁も傷んでいて工事が必要だ」は、国民生活センターが次々販売の典型トークとして公開している言葉です
  • 見せられる写真は「あらかじめ業者が用意しておいたものである場合もあります」
  • 「今なら安く」も「実際には相場よりも高額である場合もあります」
  • 相談は5年で約3倍(2022年度2,885件)。契約者の8割超が60歳以上
  • 6月と9〜11月に増える=梅雨と台風のあとを狙っています
  • 「保険金が使える」は要注意。経年劣化は対象外で、うその申請は詐欺罪のおそれ
  • 契約しても8日以内はクーリング・オフ。過ぎても、事実と違う説明があったなら気づいてから1年は取り消せる可能性があります

やることは2つです。

突然の訪問には点検させない。1社の見積もりで決めない。


同じ点検商法は太陽光でも急増しています(「太陽光を載せれば電気代がほぼゼロ」は本当?)。そこから蓄電池を勧められる流れは蓄電池の記事に、契約前の共通の確認手順は営業されたら確認する10項目、期間の数え方や通知の出し方はクーリング・オフの使い方にまとめています。

📋 契約前にここを確認

  • 突然訪問してきた業者に、無料でも点検させていませんか?
  • 見積もりは複数社から取りましたか?(国センのアドバイスです)
  • 家を建てた工務店には相談しましたか?
  • 「保険金が使える」と言われていませんか?(経年劣化は対象外です)
  • 契約書面を受け取った日から8日以内ですか?(クーリング・オフ)

参照した情報源

  1. 国民生活センター「屋根工事の点検商法のトラブルが増えています−典型的な勧誘トークを知っておくことで防げます!−」(2023年10月11日公表・報告書本文)
  2. 国民生活センター 同・発表情報ページ(相談件数の推移と相談事例)
  3. 特定商取引法 第9条(訪問販売における契約の申込みの撤回等)・e-Gov法令検索
  4. 消費者契約法 第4条(不実告知等による取消し)/第7条(取消権の行使期間)・e-Gov法令検索

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