🏠 住宅・リフォーム

「太陽光を載せれば電気代がほぼゼロ」は本当? 買取価格は14年で3分の1です

🗣️営業トーク

「屋根に載せれば電気代はほぼゼロになりますし、余った分は売れます。10年ほどで元が取れますよ」

結論

売電価格は2012年度の42円から下がり続け、2026年度は1〜4年目が24円、5〜10年目が8.3円です。10年ならすと約14.6円で、当時の3分の1です。しかも買取期間は10年で終わり、パワーコンディショナは20年間で一度は交換するのが一般的です(約38.4万円)。電気代がゼロになるわけでもありません。載せるかどうかは、設置費用・交換費用・撤去費用まで入れた総額で判断してください。

訪問販売や住宅展示場で、こう言われることがあります。

「屋根に載せれば電気代はほぼゼロになりますし、余った分は売れます」

「10年ほどで元が取れますよ」

このトークは、ある時期までは成り立っていました。 いまは前提が変わっています。

まず、売電価格の推移を見てください。

先に結論

この記事の結論

売電価格は

2012年度の42円から下がり続け、2026年度は1〜4年目24円・5〜10年目8.3円。10年ならすと約14.6円です

▼

しかも

買取期間は10年で終わります。さらに20年使うあいだに、パワーコンディショナの交換が一度は要ります(約38.4万円)

▼

電気代も

ゼロにはなりません。夜も雨の日も電気は買いますし、基本料金と再エネ賦課金は残ります

▼

だから

判断するのは設置費用+交換費用+撤去費用まで入れた総額です。単価が3分の1なら、売電収入も3分の1になります

🔴 売電価格はこう下がってきました

資源エネルギー庁が公表している、住宅用(10kW未満)の調達価格です。

年度 買取価格(1kWhあたり)
2012年度 42円
2014年度 37円
2016年度 31円
2018年度 26円
2020年度 21円
2022年度 17円
2024年度 16円
2025年度(4〜9月) 15円
2026年度 24円(1〜4年目)/8.3円(5〜10年目)

(資源エネルギー庁「買取価格・期間等」/過去の買取価格・期間等。2015年度以降は出力制御対応機器の設置義務なしの価格)

図解① 住宅用の売電価格(1kWhあたり)

2012年度
42円
2018年度
26円
2022年度
17円
2026年度
ならして約14.6円

どの年度も買取期間は10年間です。「42円で10年」と「約14.6円で10年」では、同じ発電量でも売電収入がまったく違います。

単価が3分の1になれば、売電収入も3分の1です。 発電量が同じでも、そうなります。

💰実際は

「10年で元が取れます」というトークは、42円だった時代の感覚です。 当時の話としては成り立ちましたが、いまの単価で同じことを言うなら、根拠を出してもらう必要があります。

🔴 「24円」の見せ方に注意してください

2026年度の価格をもう一度見てください。

24円(〜4年)/8.3円(5〜10年) (資源エネルギー庁)

前半に厚く、後半に薄い形になっています。初期投資を支援するための仕組みで、2025年度の下半期から適用されています。

数字だけ見ると「24円」は前年の15円より高く見えます。でも、それは4年目までです。

10年ぶんをならすと、こうなります。

14.58円/kWh(24円×4年+8.3円×6年 ÷ 10年)

⚠️ここに注意

「いまは24円です」だけを聞くと、実際より有利に見えます。 5年目から8.3円になること、そして10年で買取が終わることをセットで確認してください。

買取期間は、資源エネルギー庁の表に「10年間」と明記されています。11年目以降は、電力会社などとの相対契約になり、条件は各社が決めます。

電気代は「ほぼゼロ」にはなりません

言葉のとおりに受け取ると、ここも違います。

  • 夜は発電しません。 雨の日も曇りの日も落ちます。その分は買います
  • 基本料金は契約している限りかかります
  • 再生可能エネルギー発電促進賦課金は、電気を買う限り自分も払います

図解② 「ほぼゼロ」と実際

減るのは

昼間、自分で使った分の電気代です。ここは確かに減ります

▼

残るのは

夜間・雨天に買う電気代/基本料金/再エネ賦課金

▼

つまり

「ゼロ」ではなく「昼の自家消費分が減る」。いくら減るのかを数字で出してもらいます

なお、電気代が高くなるほど「買わずに済む分」の価値は上がります。そこは太陽光に有利に働く要素です。ただ、それも金額で確認する話です。

🔴 総額に入れる項目

見るところは決まっています。月額でも単価でもなく、総額。

太陽光は、設置して終わりではありません。入れるべき項目を並べます。

項目 中身
設置費用 パネル・パワーコンディショナ・架台・工事費
パワコンの交換 後述。20年間で一度は交換するのが一般的
点検・清掃 定期的に発生します
撤去・処分費用 最後に必ずかかります。誰が負担するか確認してください
屋根の補修 パネルが載っていると、屋根や外壁の工事はやりにくくなります
火災保険料 設備が増えるぶん、条件が変わることがあります

とくに見落とされるのがパワーコンディショナです。

金額は、推測ではありません。国が買取価格を決めるときに、実際に積算しています。 経済産業省の調達価格等算定委員会が、太陽光発電協会へのヒアリング結果として示した数字です(5kWの設備を想定)。

➢ 発電量維持や安全性確保の観点から3~5年ごとに1回程度の定期点検が推奨されており、1回当たりの定期点検費用は相場は約3.8万円程度であること ➢ パワコンについては、20年間で一度は交換され、38.4万円程度が一般的な相場であること(昨年度のヒアリング調査では42.3万円程度であり、上昇の要因としては、人件費増等が考えられる。) (経済産業省 調達価格等算定委員会(第110回)「太陽光発電について」・2026年1月)

同じ資料に、計算式まで書かれています。

(3.8万円×5回+38.4万円) ÷ 5kW ÷ 20年間 = 約5,740円/kW/年

57.4万円(5kWの設備・20年間の維持費のめやす)

定期点検が5回で19万円、パワコン交換が38.4万円。合わせて57.4万円です。設置費用とは別に、これがかかります。

💰実際は

買取は10年で終わり、20年のあいだにパワコンの交換も来ます。 「10年で元が取れる」の先で、収入が下がり、支出が来る。ここを計算に入れているかどうかです。

しかも、この積算は20年間の運転を前提にしています。

運転年数について、外壁や屋根の塗り替え等が想定されることから、20年間の運転を想定し…… (同・第110回資料)

屋根の塗り替えのときに、パネルをどうするか。 その費用は、この57.4万円には入っていません。

🔴 訪問販売については、国も注意喚起しています

さらに近年は、設置した後を狙う勧誘が急増しています。「点検商法」です。

「点検が義務化された」などと言われて太陽光発電システムの無料点検を勧められたり、点検を受けた結果、太陽光パネルの洗浄等の契約を迫られたという相談が増えています (国民生活センター「太陽光発電システムの点検商法が急増!」2025年6月4日)

相談件数の推移です。

年度 相談件数
2017年度 57件
2021年度 90件
2022年度 154件
2023年度 304件
2024年度 613件

(同・PIO-NET登録分)

7年で10倍以上です。同センターが載せている相談事例です。

突然、事業者が訪問してきて「太陽光パネルの点検が法律で義務化されたので、太陽光設備を無料で点検する。パネルによる火災事故が起こっている。」などと説明された。後日、事業者が改めてやってきてドローンを飛ばして点検した。事業者に「パネルをサーモモニターで確認したところ赤くなっているので、今後、太陽光パネルを長期使用するためには洗浄とコーティングが必要」と言われ、言われるがまま約40万円の契約をした。 (同・2024年12月受付 80歳代 女性)

「無料点検」から入り、機材を使って見せ、その場で契約に至る。 設置したことが、次の営業の入口になっています。

同センターは「点検義務の対象になるかは、FIT制度・FIP制度の利用の有無や出力等により異なります」としたうえで、こうアドバイスしています。

🔍CHECK

  • 「点検が義務化された」などと言われても安易に契約せず、まずは点検の要否を確認する
  • 点検やメンテナンスの契約はその場で契約せず、複数社から見積もりを取る

公平に書いておきます

太陽光に意味がないという話ではありません。

  • 電気代が上がるほど、自家消費の価値は上がります。 買わずに済む分が増えるからです
  • 停電時の非常用電源になります(自立運転機能がある場合)
  • 新築時に組み込むなら、後付けより工事費は抑えやすくなります

載せるかどうかは自由です。 この記事が言っているのは、「ほぼゼロ」「10年で元が取れる」という言い方だけは検算しましょうということです。

計算式はこれだけです。

総費用 ÷ 年間の効果= 回収年数
  • 総費用=設置費用 + パワコン交換 + 点検 + 撤去・処分
  • 年間の効果=売電収入 + 買わずに済んだ電気代

この2つの数字を、見積書とシミュレーションから出してもらってください。 出てくれば、あとは割り算です。

まとめ

「太陽光を載せれば電気代がほぼゼロになります」

  • 売電価格は2012年度の42円から下がり続け、2026年度は24円(1〜4年目)/8.3円(5〜10年目)。ならすと約14.6円
  • 買取は10年で終わります(住宅用の調達期間は10年間)
  • 20年使うあいだに、パワコンの交換が一度は要ります(約38.4万円)
  • 電気代はゼロになりません。夜間・雨天の電気代、基本料金、再エネ賦課金は残ります
  • 点検商法の相談は2017年度57件→2024年度613件

「ほぼゼロ」と言われたら、期間と費用の両方を聞いてください。

「売電はいくらで、何年間ですか? パワコンの交換と撤去費用は総額に入っていますか?」


その場で契約を迫られたときの対処は営業されたら確認する10項目に、持ち家そのものの損得は「持ち家は資産になります」は本当?にまとめています。

📋 契約前にここを確認

  • 売電価格はいくらで、何年間ですか?(住宅用の買取期間は10年です)
  • 設置費用の総額はいくらですか?(パネル・パワコン・工事費)
  • パワーコンディショナの交換費用と時期は見込んでいますか?
  • 撤去・処分の費用は誰が負担しますか?
  • 電気代がゼロにならない分(夜間・雨天・基本料金)はいくら残りますか?

参照した情報源

  1. 資源エネルギー庁「買取価格・期間等(2026年度以降)」(住宅用10kW未満・24円/8.3円・調達期間10年間)
  2. 資源エネルギー庁「過去の買取価格・期間等」(2012年度42円ほか年度別の調達価格)
  3. 経済産業省 調達価格等算定委員会(第110回)「太陽光発電について」(2026年1月・定期点検3.8万円/パワコン交換38.4万円/運転維持費の想定値)
  4. 国民生活センター「太陽光発電システムの点検商法が急増!」(2025年6月4日公表・相談件数の推移)

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