🛡️ 保険

「返戻率110%だから10%増えます」は本当?年利に直すと約0.9%です

🗣️営業トーク

「この商品は返戻率110%ですから、10%増えて戻ってきますよ」

結論

「返戻率110%」を20年の月払いで達成した場合、年利に直すと約0.94%です。%の大きさではなく、年利に直してから判断してください。一時払いと月払いでは、同じ返戻率でも年利が約2倍違います。

「この商品は返戻率110%です」

「10%増えて戻ってきますよ」

たしかに増えてはいます。ただし、それが何年かけての話なのかで、意味がまったく変わります。

🗣️営業トーク

返戻率は110%です

🔍CHECK

それは何年で110%になるんですか?

💰実際は

月払いで20年かけて110%なら、年利に直すと約0.9%。一時払いで20年置いた場合なら約0.5%です。

換算表:返戻率を年利に直すと

主な組み合わせを出しておきます。払い方によって答えが変わるので、2つ並べています。

返戻率 期間 一時払い(置いておく) 月払い(積み立てる)
103% 10年 年約0.30% 年約0.59%
105% 10年 年約0.49% 年約0.98%
105% 20年 年約0.24% 年約0.49%
110% 20年 年約0.48% 年約0.94%
110% 30年 年約0.32% 年約0.63%
115% 25年 年約0.56% 年約1.10%
120% 30年 年約0.61% 年約1.18%

「120%」は数字だけ見ると大きく感じますが、30年の月払いなら年1.18%です。

%の大きさではなく、年利に直してから判断する。 これだけで見え方が変わります。

一時払いと月払いで、約2倍ちがいます

同じ「返戻率110%・20年」でも、一時払いなら年0.48%、月払いなら年0.94%。

理由はシンプルで、月払いだと最後に払ったお金は数か月しか運用されていないからです。20年かけて積み立てた場合、お金が運用されている平均期間はおよそ10年。だから同じ返戻率でも、年利に直すと高く出ます。

⚠️ここに注意

ネット上には「返戻率110%=年0.5%」とだけ書いた解説もありますが、それは一時払いの場合の数字です。月払いの契約に当てはめると、実際の年利を半分に見誤ります。 自分の契約がどちらなのかを確認してください。

📝補足

上の表は「払った保険料の総額が、その年数をかけてその倍率になった場合」の概算です。実際の保険は払込期間と据置期間が違ったり、保険料の払い方(月払・年払・一時払)で条件が変わったりします。正確な比較には設計書の数字が必要です。

「年0.9%」は高いのか、低いのか

年利に直せても、比べる物差しがないと評価できません。

単純な複利計算で、利率の違いが20年でどれくらいの差になるかを見ておきます。

図解① 100万円を20年間、複利で運用した場合

年0.5%
約110万円
年1%
約122万円
年3%
約181万円
年5%
約265万円
年7%
約387万円

元本100万円を一定の利率で20年間複利運用した場合の数学上の計算です。貯蓄型保険の解約返戻金がこの通りに増えるという意味でも、投資がこの利率で増えるという意味でもありません。「利率の差が長期でどれくらい効くか」を見るための比較です。

年1%と年5%。差は4ポイントですが、20年後には122万円と265万円。倍以上ひらきます。

毎月積み立てる場合は、こうなります

保険は月払いで積み立てる形が多いので、そちらでも見ておきます。

毎月2万円を20年間。払い込む元本は480万円です。

図解② 毎月2万円を20年積み立てた場合(元本480万円)

増えない
480万円
年0.5%
約505万円
年1%
約531万円
年3%
約657万円
年5%
約822万円
年7%
約1,042万円

毎月同じ額を積み立て、一定の利率で運用できたと仮定した場合の数学上の概算です。保険の返戻金がこの通りになるという意味でも、投資がこの利率で増えるという意味でもありません。実際の投資の成績は年ごとに変動します。

数字を並べるとこうです。

年利 20年後 元本との差 返戻率にすると
0.5% 約505万円 +約25万円 約105%
1% 約531万円 +約51万円 約111%
3% 約657万円 +約177万円 約137%
5% 約822万円 +約342万円 約171%
7% 約1,042万円 +約562万円 約217%

ここで、さっきの返戻率の話とつながります。

「返戻率110%」の貯蓄型保険を月払いで20年続けた場合、この表の「年1%」の行とほぼ同じです。元本480万円が約531万円になる、というイメージになります。

⚠️ここに注意

念のため書きます。年3%や年5%は保証された数字ではありません。 投資には元本割れのおそれがあり(金融庁「投資の基本」)、20年間ずっと同じ利率で増え続けるわけでもありません。上の表は「利率の差が長期でどれだけ効くか」を見るための計算です。

「増えなかった分」も損失です

見落とされやすいのが、同じお金を別の方法に回していたら、という差です。

図解③ 20年後の差(毎月2万円・元本480万円)

20年後 貯蓄型保険(年1%相当)との差
貯蓄型保険(年1%相当) 約531万円 —
年3%で運用できた場合 約657万円 +約125万円
年5%で運用できた場合 約822万円 +約291万円

年3%・年5%は保証された数字ではなく、仮定です。実際の投資は増えることも減ることもあります(金融庁「投資の基本」)。ここで見たいのは「同じお金でも置き場所で結果が変わる」という点です。

30年に延ばすと差はさらに広がります。毎月2万円を30年(元本720万円)なら、年1%で約839万円、年3%なら約1,165万円。差は約326万円です。

減っていなくても、「増えなかった分」は失われています。 これを機会損失と呼びます。契約書には出てこない数字ですが、20年30年という期間では小さくありません。

まとめ

「返戻率110%だから10%増えます」

増えてはいます。ただし何年かけてか、が抜けています。

  • 20年の月払いなら、年利に直して約0.94%
  • 20年の一時払いなら、約0.48%
  • 同じ返戻率でも、払い方で約2倍違う

返戻率を出されたら、そこに時間の情報を足してもらってください。

「それは何年で110%になるんですか? 月払いですか、一時払いですか?」

そのうえで、この商品自体をどう考えるかは「貯蓄型保険なら安心してお金を貯められます」は本当?に、予定利率という言葉の意味はこちらにまとめています。

📋 契約前にここを確認

  • その返戻率は、何年かけての数字ですか?
  • 一時払いですか、月払いですか?
  • 年利に直すと何%になりますか?
  • 払込総額はいくらで、受取総額はいくらですか?
  • 同じお金を他の方法に置いた場合と比べましたか?

参照した情報源

  1. 生命保険文化センター「用語辞典」(解約返戻金の定義)
  2. 金融庁「投資の基本」(長期・積立・分散、リスクとリターン)

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