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「介護は長引きます。民間の介護保険で備えておきましょう」は本当? 先に公的な介護保険の自己負担と上限を確かめてください

🗣️営業トーク

「介護は長引きます。公的な介護保険だけでは足りませんから、民間の介護保険で備えておきましょう。認知症になったら、ご家族の負担も大きいですよ」

結論

40歳になると全員が公的な介護保険に加入し、65歳以上は原因を問わず、40〜64歳は特定疾病で介護が必要と認定されれば、介護サービスを受けられます。厚生労働省によると、サービスの自己負担は原則1割(一定以上の所得なら2割または3割)で、1か月の負担が所得に応じた上限を超えた分は高額介護サービス費として戻ります(市区町村民税課税世帯で課税所得380万円未満なら世帯で月44,400円)。医療費と合わせて年単位で負担を抑える制度や、所得の低い人の食費・居住費を軽くする制度もあります。特別養護老人ホームの相部屋の場合、要介護5で食費・居住費を含めた自己負担の目安は月約11万円です。介護は65歳以上の約5人に1人が認定を受けている、珍しくないできごとで、起きる確率が高いものほど保険料は高くなります。民間の介護保険を考える前に、公的な自己負担の上限と、年金・貯蓄で埋まるかどうかを確かめてください。

親の介護を経験した人ほど、この言葉は重く響きます。

「介護は長引きます。公的な介護保険だけでは足りませんから、民間の介護保険で備えておきましょう」

「認知症になったら、ご家族の負担も大きいですよ」

いくらかかるのか分からないと、不安だけが大きくなります。

でも、公的な介護保険には、自己負担の割合にも、1か月の負担にも、決まりがあります。 この記事では、公的な介護保険でどこまでまかなえるのかを、厚生労働省の資料で確かめます。

先に結論

この記事の結論

公的な介護保険

40歳以上は全員加入。サービスの自己負担は原則1割(所得により2〜3割)

▼

上限がある

1か月の負担は所得に応じた上限まで。一般的な課税世帯なら世帯で月44,400円

▼

施設でも

特別養護老人ホームの相部屋なら、食費・居住費込みで月約11万円が目安

▼

だから

民間の保険を考えるのは、この負担を年金と貯蓄で埋められるかを確かめてから

営業トークを分解してみる

言われること 抜けていること
介護は長引きます 長引いても、1か月の負担には上限があること
公的な介護保険だけでは足りません 何が、月いくら足りないのか
民間の介護保険で備えましょう どんな状態になったら保険金が出るのか。保険料の総額はいくらか
ご家族の負担も大きい 家族の負担を減らすための公的な相談窓口があること

🔴 40歳以上は、全員が公的な介護保険に入っています

厚生労働省の説明です。

私たちは40歳になると、被保険者として介護保険に加入します。 65歳以上の方は、市区町村(保険者)が実施する要介護認定において介護が必要と認定された場合、いつでもサービスを受けることができます。 また、40歳から64歳までの人は、介護保険の対象となる特定疾病により介護が必要と認定された場合は、介護サービスを受けることができます。 (厚生労働省「介護サービス情報公表システム」介護保険とは)

65歳以上なら、認知症を含めて、原因を問わず介護が必要と認定されればサービスを受けられます。

自己負担は、原則1割

介護保険サービスを利用した場合の利用者負担は、介護サービスにかかった費用の1割(一定以上所得者の場合は2割又は3割)です。 (厚生労働省「介護サービス情報公表システム」サービスにかかる利用料)

在宅で使えるサービスの量には、要介護度ごとの上限(支給限度額)があります。

要介護度 1か月の支給限度額 限度額いっぱいに使った場合の自己負担(1割)
要支援1 50,320円 5,032円
要介護1 167,650円 16,765円
要介護3 270,480円 27,048円
要介護5 362,170円 36,217円

(支給限度額は厚生労働省。自己負担は当サイトの計算。限度額を超えて使った分は全額自己負担)

🔴 1か月の負担には、上限があります

月々の利用者負担額(福祉用具購入費や食費・居住費等一部を除く。)の合計額が所得に応じて区分された上限額を超えた場合、その超えた分が介護保険から支給されます。 (同)

これが高額介護サービス費です。上限は所得で決まります。

世帯の区分 1か月の上限
市区町村民税課税世帯〜課税所得380万円(年収約770万円)未満 44,400円(世帯)
課税所得380万円〜690万円(年収約1,160万円)未満 93,000円(世帯)
課税所得690万円(年収約1,160万円)以上 140,100円(世帯)
市町村民税世帯非課税 24,600円(世帯)など

(厚生労働省「サービスにかかる利用料」から当サイトが抜粋。支給を受けるには市区町村への申請が必要)

さらに、医療保険と介護保険の両方に自己負担がある世帯は、高額医療・高額介護合算制度で1年間の合計の負担が軽くなります。所得の低い人が施設に入る場合は、食費と居住費の負担を軽くする制度(特定入所者介護サービス費)もあります。

44,400円一般的な課税世帯の、介護サービスの自己負担の1か月の上限(世帯)

⚠️ここに注意

上限の対象外になる費用もあります。 高額介護サービス費の上限には、福祉用具の購入費や、施設の食費・居住費などは含まれません。施設に入る場合は、これらを足して考えてください。

数字で見ると

施設に入った場合の目安

厚生労働省は、特別養護老人ホームの1か月の自己負担の目安をこう示しています。

要介護5・相部屋(多床室)の場合 目安(1か月)
施設サービス費の1割 約26,130円
居住費 約27,450円
食費 約46,350円
日常生活費 約10,000円(施設が設定)
合計 約109,930円

(厚生労働省「サービスにかかる利用料」。ユニット型個室なら合計約146,980円)

月約11万円が、年金でどこまでまかなえるかが、最初に確かめることです。足りない分が月2万円なら、5年間で120万円(当サイトの計算)。この額を貯蓄で用意できるなら、保険で備える必要はありません。

介護は、珍しくないできごとです

第1号被保険者に対する65歳以上の認定者数の割合は、20.4%となっている。 (厚生労働省「介護保険事業状況報告の概要(令和8年7月暫定版)」)

2026年7月末時点で、65歳以上の約5人に1人が要介護・要支援の認定を受けています。

🔍CHECK

起きる確率が高いものほど、保険には向きません。 保険は、多くの人が少しずつ払い、起きた少数に払う仕組みです。起きる人が多ければ、そのぶん保険料は高くなります。 しかも介護の費用は、公的な上限があるので「家計が一度に背負えない額」になりにくい。起きやすく、1か月の額には上限がある費用は、貯蓄で備えるのに向いています。 保険が必要な場面の考え方は「掛け捨てはお金を捨てている」は本当?にまとめています。

家族の負担を減らすなら、まず公的な窓口へ

「家族の負担が大きい」のは事実です。ただ、その負担を減らす入口は保険ではありません。厚生労働省は、介護サービスを使う流れをこう説明しています。

まずは、お住まいの市区町村の窓口で要介護認定(要支援認定を含む。……)の申請をしましょう。 (厚生労働省「介護サービス情報公表システム」サービス利用までの流れ)

認定で「非該当」になった場合も、市区町村の事業で使えるサービスがあるとして、「お住まいの市区町村又は地域包括支援センターにご相談下さい」としています。親の介護が心配になったら、最初に相談する先は地域包括支援センターです。

とはいえ、営業側にも一理ある部分

  • 介護が長引けば、合計額は大きくなります。 1か月の負担に上限があっても、10年続けば負担は重くなります
  • 公的な上限の外にある費用もあります。施設の食費・居住費、有料老人ホームの費用、支給限度額を超えたサービスは、上限の対象外です
  • 年金が少ない、貯蓄がない、頼れる家族がいない、という人にとっては、介護の費用に備える手段が限られるのは事実です
  • ただし、民間の介護保険は、保険金が出る条件(どの要介護度から出るか、公的な認定と連動するか)が商品ごとに違います。保険料の総額と受け取れる額を比べてから判断してください

こんな人は、民間の介護保険を検討してもいい

  • 年金が少なく、施設の自己負担(月約11万円)を年金で埋められない
  • 貯蓄が少なく、足りない分を数年分用意できる見込みがない
  • 頼れる家族がいない
  • 保険金が出る条件と保険料の総額を確かめて、貯蓄より有利だと判断できた

こんな時は要注意

  • 公的な介護保険の自己負担の割合や上限の話が、まったく出てこない
  • 「介護は何年続く」「何千万円かかる」と、出典のない数字で不安をあおる
  • 保険金が出る条件(要介護度・認知症の診断など)を説明しない
  • 貯蓄型の介護保険で、保険料の総額と受け取れる額を比べさせない

まとめ

「介護は長引きます。民間の介護保険で備えておきましょう」

  • 🔴 40歳以上は全員が公的な介護保険に加入しています。65歳以上は原因を問わず、介護が必要と認定されればサービスを受けられます
  • サービスの自己負担は原則1割(一定以上の所得なら2〜3割)
  • 🔴 1か月の負担には上限(高額介護サービス費)があり、一般的な課税世帯なら世帯で月44,400円です。医療費との合算制度もあります
  • 特別養護老人ホームの相部屋なら、食費・居住費込みで月約11万円が目安(要介護5)
  • 65歳以上の約5人に1人が認定を受けています。起きやすく、1か月の額に上限がある費用は、貯蓄で備えるのに向いています
  • 家族の負担が心配なら、まず地域包括支援センターへ

担当者には、こう聞いてください。

「公的な介護保険の上限を引いたあと、月いくら足りない計算ですか?」


公的な保障の全体像は「公的保障だけでは足りません」は本当?、医療費の上限は「高額療養費はいつまで続くか分かりません」は本当?、ひとりの老後の入院・入居の備えは「身元保証がないと入院・入居できません」は本当?にまとめています。

📋 契約前にここを確認

  • 公的な介護保険の自己負担は、自分の所得で1割・2割・3割のどれですか?
  • 高額介護サービス費の上限は、自分の世帯でいくらですか?
  • 在宅か施設か。施設なら、食費・居住費を含めて月いくらになりますか?
  • その月の負担を、年金と貯蓄で何年まかなえますか?
  • 民間の介護保険は、どんな状態になったら保険金が出ますか? 公的な要介護度と連動していますか?
  • 保険料の総額と、受け取れる保険金の額を比べましたか?
  • まず地域包括支援センターに相談しましたか?

参照した情報源

  1. 厚生労働省「介護サービス情報公表システム」介護保険の解説「介護保険とは」「サービス利用までの流れ」「サービスにかかる利用料」(利用者負担・支給限度額・特養の自己負担の目安・高額介護サービス費・高額医療・高額介護合算制度・補足給付。2026年9月28日確認)
  2. 厚生労働省「介護保険事業状況報告の概要(令和8年7月暫定版)」

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