🛡️ 保険

「持病があっても入れます」は本当? 入れます。ただし、告知が消えるわけではありません

🗣️営業トーク

「こちらは持病があっても入れる保険です。告知は3つだけ。細かいことは書かなくて大丈夫ですよ。健康診断も要りませんから、今のうちに入っておきましょう」

結論

引受基準緩和型は、告知項目を3〜5項目程度に絞った保険です。入りやすいのは本当です。ただし告知義務がなくなるわけではなく、聞かれた項目に事実を答える義務は残ります。保険法は、故意または重大な過失で事実と違う告知をした場合、保険会社が契約を解除できると定めています。また募集人には告知受領権がないため、口頭で伝えても告知したことになりません。保険料は通常の保険より割高で、契約後1年以内の病気による死亡は保険金が50%に削減されるのが一般的です。生命保険協会のガイドラインは「健康体であれば保険料が割安な商品がある」ことを、お客さまに認識してもらうべき事項として挙げています。まず通常の保険に申し込めるかを確かめてください。

健康診断の結果が気になり始めたころ、ちょうど言われます。

🗣️営業トーク

こちらは持病があっても入れる保険です。告知は3つだけ。細かいことは書かなくて大丈夫ですよ。健康診断も要りませんから、今のうちに入っておきましょう

「持病があっても入れます」は本当です。 そういう設計の商品があります。

ただし「細かいことは書かなくて大丈夫」は、別の話です。ここを混ぜると、あとで困ります。

この記事の結論

入りやすいのは本当

告知項目が3〜5項目程度に絞られています

▼

でも

告知義務は消えません。聞かれた項目に事実を答える義務は残ります

▼

そして

保険料は割高で、契約後1年以内の病死は50%に削減されるのが一般的です

▼

だから順番は

まず通常の保険に申し込む。断られてから、ここを考えます

何が「緩和」されているのか

生命保険文化センターの説明です。引受基準緩和型(限定告知型)の告知項目は、3から5項目程度に絞られています。例として挙げられているのがこの3つです。

①医師による最近3カ月以内の入院・手術のすすめ ②過去2年以内の入院・手術 ③過去5年以内のがん・上皮内がん、肝硬変、統合失調症、認知症、アルコール依存症による医師の診察・検査・治療・投薬

(生命保険文化センター「告知や医師の診査なしで契約できる生命保険とは?」)

緩和されているのは「聞かれる項目の数」です。 質問の数が少ないので、該当しなければ入れる。それだけの話です。

🔴 告知義務は、なくなりません

保険法37条です。

保険契約者又は被保険者になる者は、生命保険契約の締結に際し、……重要な事項のうち保険者になる者が告知を求めたもの……について、事実の告知をしなければならない。

(保険法 第37条)

「告知を求めたもの」について答える義務です。これを質問応答義務といいます。

引受基準緩和型は、質問が3つに減っているだけです。その3つについて事実を答える義務は、通常の保険とまったく同じです。

事実と違う告知をするとどうなるか。55条1項です。

保険者は、保険契約者又は被保険者が、告知事項について、故意又は重大な過失により事実の告知をせず、又は不実の告知をしたときは、生命保険契約を解除することができる。

そして解除されると、59条2項1号により、解除までに起きた保険事故についても給付を受けられません(告知しなかった事実に基づかない事故は除きます)。

図解① 「書かなくていい」と言われたときに起きること

契約のとき

告知項目に該当するのに書かなかった

▼

請求のとき

保険会社が調べます。故意または重大な過失なら解除できます(55条1項)

▼

結果

解除までに起きた事故も原則として給付されません(59条2項1号)

🔴 口頭で伝えても、告知したことになりません

ここが、いちばん見落とされます。生命保険協会のガイドラインに、そのまま書かれています。

告知受領権は生命保険会社(会社所定の書面「告知書」)および生命保険会社が指定した医師が有しています。生命保険募集人(代理店を含みます。)・生命保険面接士は告知受領権がなく、生命保険募集人・生命保険面接士に口頭でお話しされても告知していただいたことにはなりませんのでご注意ください。

(生命保険協会「正しい告知を受けるための対応に関するガイドライン」・平成26年4月1日改正)

「担当の人には言ってあります」は、通りません。 告知は告知書に書くものです。

同じガイドラインは、告知義務違反が起きた原因を整理しています。その中にこれがあります。

・募集人に話したことをもって告知したと誤認 ・軽微な疾患・事象のため告知対象外との誤認 ・募集人の故意による不告知教唆 ・お客さまと募集人との認識不一致(「言った、言わない」の問題)

業界団体自身が、この原因を把握して対策を書いています。 起きやすいことだということです。

ただし、勧められて書かなかった場合は別です

保険法55条2項には、保険会社が解除できない場合が定められています。

二 保険媒介者が、保険契約者又は被保険者が前項の事実の告知をすることを妨げたとき。 三 保険媒介者が、保険契約者又は被保険者に対し、前項の事実の告知をせず、又は不実の告知をすることを勧めたとき。

(保険法 第55条第2項)

「そこは書かなくていいですよ」と言われて書かなかったのなら、保険会社は解除できません。

⚠️ここに注意

⚠️ ただし55条3項に例外があります。

前項第二号及び第三号の規定は、当該各号に規定する保険媒介者の行為がなかったとしても保険契約者又は被保険者が……告知をせず、又は不実の告知をしたと認められる場合には、適用しない。

つまり「言われなくても、どうせ書かなかっただろう」と判断されれば、この保護は働きません。 言われたかどうかを、あとから証明するのも簡単ではありません。 自分で読んで、自分で書いてください。

なお解除権は、保険会社が原因を知ってから1か月行使しないと消え、契約から5年でも消えます(55条4項)。

割高であることは、業界の指針に書いてあります

生命保険協会のガイドラインには、この種の保険を売るときに、お客さまに認識してもらうべき事項が示されています。

○通常の保険より高い発生率に基づいて保険料を計算するため、同一条件での通常の保険より保険料が割高であること ○健康体であれば、無選択型または選択緩和型より保険料が割安な商品があること ○無選択型または選択緩和型特有の……保障内容の制限(削減期間等)がある場合は、その内容

募集用資料の記載例まで示されています。

○健康な方であれば、医師の診査を受けること等により、当保険よりも保険料が割安な他の保険にお申込いただくことができます。 ただし、その場合、診査結果等によりご契約いただけないこともあります。

「もっと安い保険に入れるかもしれません」と伝えることが、業界の指針になっています。

これを言われずに勧められたなら、その時点で確認することがあります。自分は通常の保険に入れないのか、です。

契約してすぐは、満額出ないのが一般的です

生命保険文化センターの説明です。

  • 引受基準緩和型:「契約後1年以内の病気による死亡では、死亡保険金額が50%に削減されるのが一般的」(同じ説明に「削減されないものもある」とも書かれています)
  • 無選択型(告知そのものが不要な商品):「契約後2年・3年以内の病気による死亡は、既に払い込んだ保険料の累計額相当を受け取れるのが一般的」

医療保険でも「契約後1年間は、給付金額が半額になるなど保障内容に制約があるもの」があるとされています(生命保険文化センター)。

50%(引受基準緩和型・契約後1年以内の病気による死亡保険金。一般的な例)

「今のうちに入っておきましょう」と急かされたときは、その「今」から1年間は半分になるのが一般的だということです。

⚠️ 無選択型については、もう一つ注記があります。保険料が「終身払」の場合、払込保険料総額が死亡保険金を上回ることがあるとされています。

🔴 順番を逆にしないでください

生命保険文化センターは、はっきり書いています。

まずは通常の生命保険を契約できるかどうかを確認することが大切です

図解② 検討する順番

①通常の保険に申し込む

持病があっても入れることがあります。条件付きで入れる場合もあります

▼

②断られたら

そこで初めて引受基準緩和型を検討します

▼

③それも駄目なら

無選択型。ただし削減期間はさらに長くなります

▼

④そもそも

その保障は要りますか。公的な給付と貯蓄で足りませんか

引受基準緩和型は、通常の保険に入れなかった人のための商品です。試す前に勧められているなら、順番が逆です。

④については、「公的保障だけでは足りません」は本当?と「医療保険は入っておいた方が安心」は本当?で扱っています。保険に備えさせるものの考え方は「掛け捨てはお金を捨てている」は本当?にまとめています。

まとめ

  • 「持病があっても入れます」は本当です。告知項目が3〜5項目程度に絞られています
  • 🔴 緩和されているのは質問の数だけ。告知義務そのものは残ります(保険法37条)
  • 🔴 事実と違う告知は、故意または重大な過失なら解除されます(55条1項)。解除までの事故も原則給付されません(59条2項1号)
  • 🔴 募集人に口頭で言っても告知になりません(告知受領権がない・生命保険協会ガイドライン)
  • ただし「書かなくていい」と勧められて書かなかった場合、保険会社は解除できません(55条2項3号)。例外あり(3項)
  • 解除権は、知ってから1か月・契約から5年で消えます(55条4項)
  • 保険料は割高。業界の指針が「健康体であれば割安な商品がある」ことを、認識してもらうべき事項として挙げています
  • 契約後1年以内の病死は50%に削減されるのが一般的。無選択型はさらに長く、払込保険料相当額のことも
  • 🔴 順番は「まず通常の保険」。 生命保険文化センターがそう書いています

契約前に何を確認するかは営業されたら確認する10項目にまとめています。

📋 契約前にここを確認

  • 通常の保険に申し込んでみましたか? 断られましたか?
  • 告知書の項目を、自分で読んで自分で書きましたか?
  • 「書かなくていい」と言われた項目はありませんか?
  • 契約後どのくらいの期間、給付が削減されますか? 何%ですか?
  • 同じ保障で、通常の保険だといくらですか? 差額はいくらですか?
  • すでに入っている保険や、公的な給付で足りませんか?

参照した情報源

  1. e-Gov 保険法 第37条(告知義務)・第55条(告知義務違反による解除)・第56条(危険増加による解除)・第59条(解除の効力)
  2. 生命保険協会「正しい告知を受けるための対応に関するガイドライン」(平成26年4月1日改正・告知受領権、無選択型・選択緩和型保険等の留意点)
  3. 生命保険文化センター「告知や医師の診査なしで契約できる生命保険とは?」(引受基準緩和型・無選択型)
  4. 生命保険文化センター「健康状態に不安がある人でも、契約できる医療保険とは?」(引受基準緩和型医療保険)

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