「スマホで簡単な作業をするだけで、月30万円稼げます」は本当? 稼ぐ前にお金を払わせる仕事には、法律の名前があります
営業トーク
「スマホで簡単な作業をするだけで、月30万円稼げます。始めるには、まずサポートプランへの登録が必要です。お金がなくても、稼いだお金ですぐ返せますよ」
結論
「仕事を提供するので収入が得られる」と誘い、その仕事に必要だとして商品や講座、サポートを売る取引は、特定商取引法第51条の「業務提供誘引販売取引」です。法律は売り手に、勧誘の前に目的を告げること、広告に先に払うお金と仕事の条件を書くこと、収入についてうそをつかないことを義務づけ、契約書面を受け取ってから20日間のクーリング・オフを認めています。消費者庁は、確実に収入が得られる保証がないのに「月収○○万円は確実」と告げることを、うその例に挙げています。一方、売り手が仕事をくれず、稼ぎ方の情報やサポートを売るだけなら第51条には当たりません。その場合でも、相手から電話やビデオ通話で勧誘されたなら、電話勧誘販売として8日間のクーリング・オフがあり得ます。稼ぐための話なのに、最初にお金を払うのがあなたの側なら、そこで止まってください。
動画の広告や、検索で見つけたサイトに、こう書かれています。
「スマホで簡単な作業をするだけで、月30万円稼げます」
メッセージアプリで登録すると、電話やビデオ通話がかかってきて、話はこう続きます。
「始めるには、まずサポートプランへの登録が必要です」
「お金がなくても、稼いだお金ですぐ返せますよ」
稼ぐための話なのに、最初にお金を払うのはあなたです。
この形の取引には、法律上の名前があります。特定商取引法の「業務提供誘引販売取引」です。この記事では、法律がこの取引の売り手に何を義務づけているのか、どこからがうそになるのか、そして法律の対象にならないのはどんな場合かを確かめます。
先に結論
この記事の結論
法律は
「仕事を紹介するので収入が得られる」と誘い、その仕事に必要だとして商品や講座を売る取引を、特定商取引法第51条で規制しています
売り手の義務
勧誘の前に目的を告げる。広告に先に払うお金と仕事の条件を書く。収入についてうそをつかない
消費者庁は
保証がないのに「月収○○万円は確実」と告げることを、うそ(不実の告知)の例に挙げています
契約したら
契約書面を受け取ってから20日間はクーリング・オフできます
だから
稼ぐ話なのに、最初にお金を払うのがあなたの側なら、そこで止まってください
営業トークを分解してみる
| 言われること | 抜けていること |
|---|---|
| スマホで簡単な作業 | 仕事をくれるのは誰か。報酬はどんな条件で、いつ払われるか |
| 月30万円稼げます | その根拠。実際に払われた報酬の実績 |
| まずサポートプランに登録 | 稼ぐ前に払うお金の合計(教材・サポート・登録料・端末代など) |
| 稼いだお金ですぐ返せます | 借りたお金を返すのは、稼げても稼げなくてもあなたであること |
最後の行について、国民生活センターはこう書いています。
副業や投資を勧誘する業者から「すぐに返済できる」と言われて借り入れをした場合であっても、その借り入れに対する返済義務は借り入れをした消費者が負います。 (国民生活センター「副業サポートや投資の名目で借金させる業者に注意!」・2026年5月20日)
🔴 「仕事をあげるから、先に買って」には、法律の名前があります
法律の条文
特定商取引法は、この形の取引をこう定義しています。
「業務提供誘引販売業」とは、物品の販売(そのあつせんを含む。)又は有償で行う役務の提供(そのあつせんを含む。)の事業であつて、その販売の目的物たる物品……又はその提供される役務を利用する業務(その商品の販売若しくはそのあつせん又はその役務の提供若しくはそのあつせんを行う者が自ら提供を行い、又はあつせんを行うものに限る。)に従事することにより得られる利益……を収受し得ることをもつて相手方を誘引し、その者と特定負担(その商品の購入若しくはその役務の対価の支払又は取引料の提供をいう。……)を伴う……取引……をするものをいう。 (特定商取引法 第51条)
消費者庁は、ひとことでこう説明しています。
「仕事を提供するので収入が得られる」という口実で消費者を誘引し、仕事に必要であるとして、商品等を売って金銭負担を負わせる取引のこと。 (消費者庁「特定商取引法ガイド 業務提供誘引販売取引」)
消費者庁は例として、販売されるパソコンとソフトを使うホームページ作成の在宅ワーク、販売される健康寝具の感想を伝えるモニター業務、購入したチラシを配る仕事などを挙げています。
3つの部品に分けると
| 部品 | 条文の言葉 | 副業の話でいうと |
|---|---|---|
| 仕事 | 商品や役務を利用する業務。売り手が自ら提供するか、あっせんするもの | 「この端末で投稿する仕事」「この講座で覚えた作業の仕事」を、売り手が回してくれる |
| 稼げるという誘い | 業務から得られる利益を収受し得ることをもって誘引 | 「月30万円」「端末代と同じ額が毎月入る」 |
| 先に払うお金 | 特定負担(商品の購入、役務の対価、取引料) | 教材代・サポート代・端末代・登録料・保証金 |
消費者庁の通達(法律の運用についての公式の解釈)は、登録料・入会金・保証金も「取引料」として特定負担に入ると説明しています。名目が何であれ、仕事を始めるために払うお金は全部ここに入ります。
「稼げる」と期待させれば、それで当たります
契約書に「収入を保証する」と書いていなければ当たらない、というものではありません。
契約書等で顧客が「利益」を「収受」すること……を条件として明示しているような場合に限定されるものではなく、勧誘時の説明等によって、実態として、「利益」を「収受し得る」との期待を抱かせて、商品を購入等するよう誘えば、法第51条に該当することになる。当然、現実に「利益」を「収受」したかどうかを問わない。 (消費者庁「特定商取引に関する法律等の施行について」・令和6年11月19日)
🔴 法律が売り手に義務づけていること
| 義務(条文) | 中身 | 違反すると |
|---|---|---|
| 目的を先に言う(第51条の2) | 勧誘の前に、会社名・お金のかかる契約の勧誘が目的であること・商品の種類を告げる | 行政処分(指示・取引停止) |
| 広告に書く(第53条) | 商品の種類、先に払うお金、仕事の提供条件、会社名・住所・電話番号など | 100万円以下の罰金(第72条) |
| 大げさな広告の禁止(第54条) | 払うお金や得られる収入などについて、著しく事実と違う表示、著しく有利だと誤認させる表示をしない | 100万円以下の罰金(第72条) |
| うそ・脅しの禁止(第52条) | 商品やサービスの内容、払うお金、解約、収入などについてうそをつかない、わざと言わないことをしない、威迫しない | 3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(併科あり)(第70条) |
| 書面を渡す(第55条) | 契約の前に概要書面、契約の後に契約書面 | 6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(併科あり)(第71条) |
「スマホで簡単な作業で月30万円」とだけ書いて、先に払うお金を書いていない広告は、この取引に当たるなら、第53条が求める表示を欠いています。
消費者庁が挙げている「うそ」の例
通達は、何がうそ(不実の告知)や、わざと言わないこと(事実の不告知)に当たるかを、例で示しています。
| 言われたこと・されたこと | 消費者庁の整理 |
|---|---|
| 確実に収入が得られる保証がないのに「月収○○万円は確実なので、それで商品購入の支払は大丈夫。」 | 不実の告知 |
| 高収入の話だけを強調し、仕事をもらうには試験に合格する必要があることや、基準に満たない成果物には報酬を払わないことを、わざと言わない | 事実の不告知 |
| 実際には有料の講習を受けないと仕事がもらえないのに「この在宅ワークをするために必要な負担は1万円の商品購入のみで、ほかには一切ない。」 | 不実の告知 |
| 許可や認可の制度がないのに「消費者庁(経済産業省)に認められた商法である。」 | 不実の告知 |
| クーリング・オフは20日なのに「8日を過ぎたらできない」、または「個人的な都合によるクーリング・オフは認められません。」 | 不実の告知 |
(消費者庁 通達の第5章の記載から当サイトが整理)
CHECK
「月30万円稼げます」と言われたら、こう聞いてください。 「それは確実ですか? 確実でないなら、どんな条件で、いくら払われた実績がありますか?」 確実だと言うなら、その根拠を書面で求めてください。確実でないなら、最初の説明は何だったのか、ということになります。
「あなたは事業主だから」は、名前では決まりません
うその禁止(第52条第1項)、書面(第55条)、クーリング・オフ(第58条)は、事業所を構えずに仕事をする個人を守るための規定です。「代理店契約だから」「あなたは事業主だから」と言われても、それだけでは決まりません。通達はこう書いています。
例えば、自宅の一室に私用のために置いているパソコンを使って業務を行うような場合には、一般的には「事業所等」には当たらず、このように自宅で業務を行う個人は第5章の規定の適用対象となる。 ……第5章の規定の適用対象となるかどうかは、業務の提供についての契約の名称や形式によって決まるものではなく、個人が「事業所等」により業務を行っているかどうかという実態によって判断されるものである。 (同 通達)
数字で見ると、話が変わります
借金をさせて払わせる手口
国民生活センターは、副業や投資を勧める業者が複数の貸金業者から次々と借り入れさせる手口について、相談件数を集計しています。業者の指示の有無は問わず、複数の貸金業者等から借り入れた相談を数えたもので、副業と投資の両方を含みます。
図解① 複数の貸金業者から借りた相談の件数(年度別)
出典:国民生活センター(2026年5月20日公表)。2025年度は2026年3月31日までの登録分で、2024年度の同じ時期の件数は4,831件でした。業者の指示の有無を問わず、複数の貸金業者等から借り入れた相談を集計したものです。
図解② 同じ相談の、平均の契約・購入金額(年度別)
出典:同上。金額が不明な相談を除き、0円を含めた単純平均で、1万円以下を四捨五入した値です。借入れ以外に自分の預貯金から払った金額も含みます。
件数は2024年度より減っていますが、平均額は2025年度がいちばん高い257万円です。
2025年度の相談を商品・役務の種類別に見ると、上位はこうです。
| 順位 | 商品・役務 | 件数 |
|---|---|---|
| 1 | 他の内職・副業(転売サイト、アフィリエイト内職など) | 1,803 |
| 2 | 役務その他サービス(副業サポート契約など) | 757 |
| 3 | 金融コンサルティング(FX自動売買システムなど) | 247 |
| 4 | ファンド型投資商品 | 201 |
| 5 | 金融関連サービスその他(暗号資産の購入など) | 183 |
1位は内職・副業、2位は副業サポート契約などを含む分類です。 2025年度の相談で、契約した人の平均年齢は33.5歳、20歳代が53.9%を占めています。
実際の相談
動画を見るだけで収入が得られるというネット広告が出て、自分でもできると思い登録した。業者から電話があり、アフィリエイトで稼ぐためのサポートをする450万円のコースを勧められた。「お金はない」と言ったら、「アフィリエイトの収入で支払えるから」と言われ、消費者金融から借り入れるように指示された。……アルバイトで月収10万円強だが、消費者金融の申し込みでは「正社員で年収300万円」と申し込むよう言われた。その日のうちに合計450万円を借り入れ…… (同 国民生活センター・2024年11月受付・20歳代)
実際は
月収10万円として、450万円は月収の45か月分です(当サイトの計算)。 それを、1日で借りさせています。
仮に広告のとおり毎月30万円が入ったとしても、2025年度の平均257万円を取り戻すには、約8.6か月かかります(257万円÷30万円・当サイトの計算)。そして国民生活センターは、報告書でこう書いています。
簡単にお金を稼げるようなうまい話はなく、借金をすぐ返せる保証もまったくありません。 (同 国民生活センター 報告書本文)
情報商材の相談は減っています
公平のために書いておくと、稼ぎ方の情報(情報商材)についての相談件数は、国民生活センターの集計で2023年度6,256件、2024年度4,163件、2025年度2,623件と減っています(国民生活センター「情報商材」・2026年5月31日現在)。ただし同センターは、情報商材をきっかけに、電話やウェブ会議で高額な副業コンサルティングやサポート契約を勧誘されるケースが目立つとしています。
実例:「端末代と同じ額が、毎月入ります」
消費者庁は2023年5月、業務提供誘引販売取引を行っていた8社に、3か月の取引停止を命じました。消費者庁の公表資料によると、仕組みはこうです。
| 段階 | 消費者庁の公表内容 |
|---|---|
| 買うもの | 持ち運べる通信機器とタブレット端末。その機器で使う通信サービスの契約 |
| 仕事 | 2か月に1回以上、そのサービスの便利さなどをSNSに投稿し、画面を送って報告する |
| 約束された報酬 | 毎月、端末代と月額の利用料金と同じ額を、翌月末までに支払う |
| 実際 | 仕事をした人に報酬を支払わなかった |
消費者庁は、この報酬が第51条の「業務提供利益」に、端末の購入と利用料金の支払いが「特定負担」に当たるとして、この取引を業務提供誘引販売取引と認定しました。処分の理由は、広告(ダイレクトメール)に先に払うお金や住所などを書いていなかったこと、契約書面を渡していなかったこと、そして報酬を払わなかったことです。
公表された事例では、投稿と報告を続けた人が、業者にこう送っています。
「先月分の利用料の振込はいつされるのでしょうか!?」、「振込がされていません。2ヶ月分の振込よろしくお願いします。」 (消費者庁 公表資料・令和5年5月18日)
業者は返信せず、少なくとも3回分の報酬が払われていませんでした。
補足
ここからは当サイトの見方です。 「報酬で相殺されるので実質無料」という話は、払うほうは契約で確定していて、入るほうは相手の約束です。 相手が払わなくなった瞬間に、端末代と利用料金だけが残ります。
なお、消費者庁の執行事例の検索で、処分日が2021年4月1日以降の業務提供誘引販売取引を検索したところ、出てきたのはこの1事案(8社と役員5名)だけでした(2026年11月3日に当サイトが確認。検索できるのは、原則として処分日が属する年度の翌年度から5年間です)。次に見るように、副業の話でも、別の取引の種類として処分された例があります。
🔴 第51条に当たらない場合もあります
条文には「売り手が自ら提供を行い、又はあつせんを行うものに限る」とあります。通達も、業務は「その商品の販売等を行う者が『自ら提供を行』うもの又は『あつせんを行う』もの」だと説明しています。
つまり、売り手が仕事をくれず、稼ぎ方の情報やサポートを売るだけなら、第51条には当たりません。たとえば「アフィリエイトのやり方を教える」「転売をサポートする」という契約で、売り手自身は仕事を出さないなら、こちらの形です。その場合は、勧誘のされ方で扱いが変わります。
| どんな契約か | 取引の種類 | クーリング・オフ |
|---|---|---|
| 売り手(または売り手があっせんする相手)が仕事をくれる前提で、商品・講座・サポートを買った | 業務提供誘引販売取引 | 20日(第58条) |
| 仕事はくれない。相手から電話やビデオ通話がかかってきて勧誘され、契約した | 電話勧誘販売になり得る | 8日(第24条) |
| 仕事はくれない。広告を見て、自分から申し込んだだけ | 通信販売になり得る | 制度なし(ただし商品なら、広告に返品の決まりが書かれていなければ、受け取ってから8日以内は返品できる・第15条の3) |
| 最初に少額の報酬が入り、そのあと「失敗した」「連帯責任」などで振込を求められる | 詐欺の可能性(国民生活センター) | 警察・消費生活センターへ |
ビデオ通話については、通達がこう書いています。
インターネット回線を使って通話する形式(映像を伴う場合も含む。)を用いた場合であっても「電話」に該当する。 (同 通達)
国民生活センターも2026年9月、SNS広告で知った事業者からWeb会議サービス等で勧誘されてAI講座などのビジネス講座を契約した相談について、「このようなケースは特定商取引法における電話勧誘販売に該当する場合があります」と書いています(国民生活センター「ビジネス講座のトラブルにご注意」・2026年9月16日)。
ただし、広告を見て自分から電話をかけ、その電話の中で広告の商品を勧められた場合は、電話勧誘販売ではなく通信販売とされています(同 通達)。どれに当たるかは事情によって変わるので、迷ったら消費者ホットライン188に相談してください。
電話勧誘販売として処分された例(2025年1月)
消費者庁は2025年1月、次のような業者2社に3か月の業務停止を命じました。
- 画像投稿アプリに「お家での簡単なお仕事」などと投稿する
- 興味を持ってメッセージアプリに登録した人に、通話リクエストを送って電話をかける
- 在庫品の詰め合わせ商品と、仕入れサイトの利用・フリマサイトでの販売サポートを契約させる
消費者庁は、これを電話勧誘販売と認定しました。解約を申し出た人に、業者はこう伝えていました。
「事業主として見ているので、クーリング・オフなどはない」、「違約金なしでのご解約は電子メールにて秘密保持契約書にご署名頂けましたらご対応いたします」、「既払い金は一切ご返金いたしません」 (消費者庁 公表資料・令和7年1月23日)
実際にはクーリング・オフができる契約だったとして、消費者庁はこれを解約についての不実の告知と認定しています。「事業主だから」は、解約を止めるときに使われる言葉です。
「いいねを押すだけ」の副業
国民生活センターは2026年5月、別の形のトラブルにも注意を呼びかけています。
「動画を見て“いいね”をしたらお金をもらえる。最初は限定特典もある」と言われ、やってみることにした。3日間指示されたとおり作業をしたら、報酬として約2,500円が振り込まれた。……事業者から「失敗したのでグループの連帯責任になる」と言われ、約50万円を入金するように言われて支払った。 (国民生活センター「簡単なタスクで稼げるとうたう副業トラブルに注意!」・2026年5月19日)
同センターは、こうした広告は「詐欺の可能性がある」として、うのみにしないよう呼びかけ、こう書いています。
最初に少額の報酬が得られても、その後に、高額報酬のタスクをするため、タスクを失敗した連帯責任、などと称して振り込みを要求されるケースが目立ちます。いったん振り込んでしまうと被害回復は困難です。 (同)
とはいえ、営業側にも一理ある部分
- 在宅でできる仕事や副業は、実在します。 道具や研修にお金がかかる仕事もあります
- 法律は、この取引そのものを禁止していません。 求めているのは、先に払うお金と仕事の条件を示すこと、うそをつかないこと、書面を渡すことです。広告に費用と条件が書かれ、契約前に書面が出てくる話は、少なくとも法律の入口は守っています
- 稼ぎ方の講座やサポートに価値を感じ、納得して払う人もいます。 それ自体は本人の選択です
- 勧誘する担当者も、自分は稼げている、良い話だと本気で信じている場合があります
- ただし、信じているかどうかと、収入が確実かどうかは別の話です。確実でないのに「確実」と言えば、この取引ではうそ(不実の告知)になります
こんな条件なら、話を聞いてもいい
- 広告に、先に払うお金と仕事の条件、会社名・住所・電話番号が書いてある
- 契約の前に、概要書面(仕事の条件・払うお金・解約のルールが書かれた書面)を渡される
- 報酬が、いくら・どんな条件で・いつ・誰から払われるのか、書面で確かめられる
- 払うお金が、借金をせずに、なくなっても生活が困らない額である
- 家族や友人に相談してから決める時間をもらえる
こんな人は要注意
- 「お金がないなら借りればいい」と、消費者金融からの借入れを勧められた
- 遠隔操作のアプリを入れるように、または画面共有をするように言われた
- 借入れの申込みで、年収や職業を実際と違うように書くよう言われた
- 会社名が分からず、やり取りはメッセージアプリの個人アカウントだけ
- 振込先が、契約した会社と違う名義になっている
- 最初に少額の報酬が入ったあと、「失敗」「連帯責任」「手数料」などで振込を求められた
- 「今日中に」と急がされる
国民生活センターの相談事例には、これらがそのまま出てきます。遠隔操作のアプリについては、「パソコンがウイルスに感染しています」は本当?にも書いています。
契約してしまったら
| 制度 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| クーリング・オフ(業務提供誘引販売取引) | 契約書面を受け取った日から20日以内なら、書面か電子メールなどで解除できる。違約金はかからず、商品を引き取る費用は売り手の負担。書面をもらっていなければ、20日の期間は始まりません | 第58条 |
| 取消し | 収入などについてうそを言われて、またはわざと言われずに誤解して契約した場合。追認できる時から1年、契約から5年以内 | 第58条の2(第9条の3を準用) |
| クーリング・オフ(電話勧誘販売) | 書面を受け取った日から8日以内 | 第24条 |
「8日を過ぎたらできない」「個人的な都合では認められない」などとうそを言われて期間を過ぎた場合は、期間を過ぎていてもクーリング・オフできます(第58条第1項・第24条第1項)。
クーリング・オフの手順は「クーリング・オフの使い方」にまとめています。どの制度が使えるかは事情によって変わるので、消費者ホットライン188(最寄りの消費生活センターにつながります)に相談してください。詐欺の疑いがあるときは、警察相談専用電話 #9110 もあります。
ここに注意
「お金がないなら、借りればすぐ返せる」と言われたら、その場で終わりにしてください。 国民生活センターは、借り入れる前に周りの人に相談すること、貸金業者の窓口に状況を伝えて相談することも一つの方法だとしています。 借りたお金を返すのは、勧誘した業者ではなく、借りたあなたです。
まとめ
「スマホで簡単な作業をするだけで、月30万円稼げます」
- 🔴 「仕事を紹介するので収入が得られる」と誘い、その仕事に必要だとして商品や講座、サポートを売る取引は、特定商取引法第51条の「業務提供誘引販売取引」です
- 契約書に書いていなくても、勧誘の説明で「稼げる」と期待させて買わせれば当たります(消費者庁の通達)
- 売り手には、勧誘の前に目的を告げること、広告に先に払うお金と仕事の条件を書くこと、うそをつかないこと、書面を渡すことが義務づけられています。収入などについてのうそは、3年以下の拘禁刑などの対象です
- 消費者庁は、確実でないのに「月収○○万円は確実」と告げることを、うその例に挙げています
- 契約書面を受け取ってから20日間はクーリング・オフできます。「事業主だから」「代理店契約だから」では決まりません
- 売り手が仕事をくれず、稼ぎ方の情報やサポートを売るだけなら第51条には当たりません。電話やビデオ通話で勧誘されたなら、電話勧誘販売として8日間のクーリング・オフがあり得ます
- 副業や投資で複数の貸金業者から借り入れさせる手口の相談は、2025年度の平均の契約・購入金額が257万円でした。1位は内職・副業で、20歳代が53.9%です
- 最初に少額の報酬が入り、そのあと振込を求められる「タスク」型の副業は、国民生活センターが詐欺の可能性を指摘しています
稼ぐための話なのに、最初にお金が動くのがあなたの側なら、こう聞いてください。
「その仕事、稼ぐ前に、私はいくら払うんですか?」
マルチ商法(紹介して稼ぐ形)の仕組みは「ねずみ講じゃないから、合法です」は本当?、目的を隠した誘い方は「勧誘じゃないよ。会わせたい人がいるだけ」は本当?、SNSで知り合った人からの投資の誘いは「先生の言うとおりにすれば、必ずもうかります」は本当?にまとめています。
📋 契約前にここを確認
- 仕事をくれるのは誰ですか? 会社名・住所・電話番号は分かりますか?
- 稼ぐ前に払うお金は、合計でいくらですか?(教材・サポート・登録料・端末代など)
- 報酬は、いくら・どんな条件で・いつ・誰から払われますか? 書面にありますか?
- 「月30万円」の根拠を示されましたか?
- お金がないなら借りればいい、と言われていませんか?
- 遠隔操作のアプリや画面共有を求められていませんか?
- 契約書面を受け取ってから、20日たっていませんか?
参照した情報源
- e-Gov 特定商取引に関する法律 第51条〜第58条の3(業務提供誘引販売取引)・第70条〜第72条(罰則)・第2条第3項・第24条(電話勧誘販売)
- 消費者庁「特定商取引法ガイド 業務提供誘引販売取引」
- 消費者庁「特定商取引に関する法律等の施行について」(令和6年11月19日・通達)
- 消費者庁「特定商取引法違反の業務提供誘引販売業者8社に対する取引停止命令(3か月)及び指示並びに当該事業者の役員5名に対する業務禁止命令(3か月)について」(令和5年5月18日)
- 消費者庁「特定商取引法違反の電話勧誘販売業者2社に対する業務停止命令(3か月)及び指示並びに当該事業者の代表取締役2名に対する業務禁止命令(3か月)について」(令和7年1月23日)
- 消費者庁「特定商取引法ガイド 執行事例の検索」(取引類型=業務提供誘引販売取引、処分日2021年4月1日〜2026年11月3日で検索)
- 国民生活センター「副業サポートや投資の名目で借金させる業者に注意!-複数の貸金業者から次々と借り入れさせる手口が目立ちます-」(2026年5月20日)
- 国民生活センター「簡単なタスクで稼げるとうたう副業トラブルに注意!」(2026年5月19日)
- 国民生活センター「情報商材(各種相談の件数や傾向)」(2026年7月31日更新)
- 国民生活センター「ビジネス講座のトラブルにご注意-広告・勧誘と実際の講座内容が異なる、Web会議での思わぬ勧誘に気をつけましょう-」(2026年9月16日)